ネコが主役! 小林泉美六段が作った囲碁絵本

「いごってなあに?」 作・小林泉美 画・荻並トシコ デザイン・関 千春 協力・張栩 発行・ぶんしん出版 定価・1400円+税
小林泉美六段が囲碁絵本を制作! ♪いごってなあに? ♪いごってかこむ〜 ♪いごってつながる〜 この絵本にはわらべ歌のように、気軽に囲碁に親しんでほしいという願いが込められている。キーワードは「つながる」!!

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絵本の主役はネコだ。本当にたくさんのネコが出てくるが、それぞれに個性豊かな表情がある。その個性豊かなネコたちが、碁盤や碁石で楽しそうに戯れている姿を見ると、直感的に囲碁は楽しいものだと感じてくれるだろう。小さな子どもだったらなおさらそう感じるに違いない。

■好きを詰め込んだ絵本

小林六段の好きなもの。囲碁、ネコ、絵を描く、モノ作り。
小林六段は「囲碁絵本は囲碁普及の大義名分もありますが、私自身が楽しいことを追求したら囲碁絵本ができました」と絵本に対する思いを語ってくれた。
絵本を作るきっかけは、漫画家の荻並トシコさんとの世間話。囲碁は覚えるのが難しいと思われているが、わらべ歌のようにもっと親しみのある雰囲気にできないか、と話しているうちに「絵本で作ってみようか!」というノリから始まった。それで絵を描くのが好きな小林六段が下絵を描き、萩並さんに見せた。
そして、出版社に相談を始めたのは5月初旬。トントン拍子で話が進み、7月1日には発売してしまうスピード感には驚きだ。これも好きなことをしているからこその所業なのだろう。棋士の好きなことを突き詰める力強さにはいつも驚かされる。

■こだわりは「つながる」

出てくる言葉はとてもシンプルで分かりやすく、言葉を繰り返し使うことにより、子どもでも口ずさみやすいテンポになっている。そして、その中でも小林六段が大事にしている言葉は「つながる」。囲碁愛好家ならすぐに盤上でイメージが湧くだろう。とても重要なことだが、これは盤上だけでなく、盤外のほうでも意識した言葉なのだ。
「囲碁の対局で生まれるコミュニケーションは人と人とのつながりをしみじみと感じます」と作中でも紹介している。
さらに、かわいいネコたちが遊んでいるのは、碁盤や碁石。見ているだけで何となく囲碁のルールが分かっていく仕掛けだ。読み聞かせをする親のほうが、子どもよりも先にルールを覚えてしまうかもしれない(笑)。

■張栩九段のネコ詰碁

張九段は監修や、裏表紙のネコの絵詰碁の制作などでサポートをした。張九段もこの絵本を気に入っているらしく、個性的なネコたちの中から好みの表情を見つけた、というエピソードもあるそうだ。
小林六段は「囲碁を知らない方にはこの絵本を素直に楽しんでほしい。囲碁愛好家は裏表紙の張栩の詰碁を解いてから、大切な人へのプレゼントにしてほしい」と話す。
※肩書・年齢はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK囲碁講座』2019年12月号より

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