母は強し、子は宝! 大宮八幡宮を訪ねる

長い参道を歩き、神門をくぐると、ようやく社殿が見えてきた。こちらは地元住民の憩いの場所らしく、境内を散歩している人が多い。撮影:齋藤幹朗
子授、安産、子育ての神様としてご神徳を集めているのは、身重の体で戦役に行き、無事に皇子を出産した神功(じんぐう)皇后です。政治を司ると同時に皇子を守り育てた、強く賢い女性です。皇子は健やかに成長し、第15代応神(おうじん)天皇となり、その後、全国各地に鎮座する八幡宮のご祭神として信仰されてきました。東京都杉並区の大宮八幡宮(おおみやはちまんぐう)は、神功皇后と応神天皇が祀られている神社。國學院大學研究開発推進機構日本文化研究所教授の平藤喜久子(ひらふじ・きくこ)さんが、宮司の鎌田紀彦(かまた・としひこ)さんにお話を聞きました。

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東京都のほぼ中央に位置することから、通称「東京のへそ」と呼ばれています。とにかく境内が広く、江戸時代には6万坪もあったそうですが、現在は1万5千坪。それでも都内では、明治神宮(めいじじんぐう)、靖國神社(やすくにじんじゃ)に次いで、3番目の広さを誇っています。朱塗りの大鳥居をくぐると、石畳の参道が250mも続きます。豊かな森に囲まれた境内には、社殿のほかに、延命長寿のご利益がある「多摩清水社(たましみずのやしろ)」、結婚式場、幼稚園、弓道場、茶室なども。
「社殿の脇に“共生(ともいき)の木”と名づけたご神木があり、2つの異なる木が1本の幹で結ばれてともに生き続けています。自然と人間、宗教、祖先などあらゆるものがともに生かされているわけで、まさに神道の心を伝えていると思います」と宮司の鎌田紀彦さん。第14代仲哀天皇と妻の神功皇后、そしてお子の応神天皇(八幡神)を祀っていることから、古くから子授、安産、子育ての神社として広く信仰されてきました。境内はアットホームな雰囲気でのんびり過ごすことができます。
鎌田さんによると、「多くの方に神社にお参りに来てほしい」と、お祭りも増やしたそうです。春秋の大祭など大きなお祭りだけでしたが、七夕やこどもの祭り、菊被綿(きくのきせわた)、十五夜の神遊びなど、毎月のように工夫を凝らした祭事を行っています。「お祭りに参加して、体得することで、神々の存在を身近に知ることができます。これからはそういう環境と場が必要ですね」
■『NHK趣味どきっ! 幸せ運ぶ! ニッポン神社めぐり』より

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