段ボールコンポスト 悪臭がほとんどしないのはなぜ?

中央部に移植ゴテで穴を掘り、生ゴミを入れる。上から突き刺すように混ぜて基材をまぶし、さらに、虫を寄せつけないように、周囲から基材を寄せて生ゴミを隠す。撮影:上林徳寛
堆肥を畑に入れると堆肥がエサになって、さまざまな菌が集まり、量も増加。菌が増えると、有機物が効率よく分解され、野菜への養分の供給もスムーズになります。そんな野菜を元気にする堆肥を作るには、手軽な段ボールコンポストがオススメです。原料は生ゴミですが、悪臭はほとんどしません。その理由を明治大学黒川農場特任教授で農学博士・技術士の藤原俊六郎(ふじわら・しゅんろくろう)さんに伺いました。

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悪臭は水分が過剰になると発生します。段ボール箱の中には、通気性がよく、吸水性に富む基材が入っています。この基材が生ゴミを分解する微生物の活動を助けるため、悪臭が出ないのです。
堆肥を作る過程で重要な働きをするのは、酸素を必要とする好気性菌です。このタイプの菌は、適度な水分と空気がないと活発に活動しません。水分が過剰になると空気が供給されなくなり、代わりに酸素なしで生きる嫌気性菌の活動が活発化します。この菌により作られる有機酸などが悪臭のもとです。これを「腐敗」といっています。
また、基材に入っているもみ殻くん炭には、悪臭物質を吸収する働きもあります。さらに、段ボール箱には吸水性と通気性があり、基材の水分を適正に保つのにも役立っています。
※段ボールコンポストの詳しい作り方、使い方はテキストに掲載しています。
■『NHK趣味の園芸やさいの時間』2019年12月・2020年1月号より

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