わらしべ長者ならぬ卵長者に!?

前回は紫綬褒章をいただいた話をしました。よく聞かれるのが「賞金」。もらえればうれしいんだけど(笑)、残念ながら1円も出ません。記念品はあるけどね。
ずっと棋士をやってきて、今回の受章で一区切りついたとすれば、あとはこれからの人生終盤をどう過ごすか。ぼくとしては珍しく楽観していたの。そろそろ年金をもらえる年だから、悠々自適とまではいかないだろうけど、のんびり心穏やかに毎日を過ごせるかなって…。
そしたら例のニュースです。老後の暮らしには2000万円必要だって言うじゃない! お先真っ暗ですよ。しかし、究極のシノギ筋を見つけました。ヒントをくれたのは平田智也(七段・25歳)さん。なんとお礼を言ったらいいか! 眼鏡の印象が強い若手です。白い縁の眼鏡で対局していたときはびっくりしたなあ。何者なんだって(笑)。
聞いた話で恐縮ですが、平田さんはあまり棋士らしくないんだとか。悪い意味じゃないよ。なんでもある棋戦の最終予選決勝で2年連続敗退。そのとき、「こんな棋士、他にいるのかな。いるわけないよな」と、ぼやいていたんだって。確かに、内面を正直にさらけ出す棋士は珍しいかもしれません。
平田さん、あなたなら大丈夫! なぜかって? ぼくが困るからです。
手合のあとの出来事でした。運よく勝って、棋院から市ケ谷駅に向かっていると少し前に平田さんの姿。「いよっ!」って声をかけました。「今日はどうでしたか」って聞いてきたから、「(勝敗は)顔を見れば分かるだろう」って返しました。
そしたら彼が唐突に、「先生、今度ぜひごちそうさせてください」って言うんです。その理由がまさに謎! 以前、ぼくが卵を1個、彼にあげたらしくて、そのお礼がしたいんだそうです。手合に勝ったもんだから、気が大きくなっちゃってね。つい「ぼくの食事は高いよ! 超高級ホテルのディナーレベルじゃないとね」って吹っかけちゃった。そしたら真剣な顔して「それでもいいです」ってさ。迫力に押され、「分かった、分かった、今度返事するよ」と答えることしかできませんでした。
平田さんは卵1個に何を見いだしたのか。聞きそびれてしまいましたが、これこそが大いなるヒント! そう、老後は卵で暮らそうと思いついたのです。
※名誉名人の卵を使ったアイデアとは? 続きはテキストでお楽しみ下さい。
■『NHK囲碁講座』連載「趙治勲名誉名人のどうでもいい碁の話」2019年10月号より

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