古代ギリシャから伝わるおもてなしの心

おもてなしのごちそうは、ギリシャ語で「ケラズマ」と呼ばれています。この食卓にもあがっているタラモサラタやギリシャサラダのつくり方はテキストで紹介しています。撮影:鍵岡龍門
ギリシャ共和国大使夫人のイオアナ・ハリクリア・ヤナカルさんは、盛りだくさんの料理でゲストをもてなします。これは古代ギリシャからの伝統なのだとか。こまやかな心配りの積み重ねが生み出す温かいおもてなし。

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ヨーロッパ南東部に位置し、半島の一部と3000以上もの島々からなる国、ギリシャ。海に囲まれ、入り組んだ海岸線を持ち、山も多いという変化に富んだ地形のおかげで、豊かな自然に恵まれています。
そんな環境のもと、ギリシャの野山には、春になるとさまざまな花が咲き乱れるそう。
「毎年5月1日には、家族や友達と野外に出かけて花を摘み、花輪をつくる習慣があるんですよ」と、大使夫人のイオアナさん。花でおもてなしをするのが大好き、とほほえみます。
「今日は、ゲストへの歓迎の気持ちを込めて花輪をつくりました。台はぶどうの枝です」
ぶどうは、ギリシャ人にとって重要な植物。古代ギリシャ時代にはすでに栽培が行われ、ワインもつくられていたというほど長い関わりがあるのです。
リビングに入ると、さらなる花飾りがゲストのふたりをお出迎え。美しい花柄の刺しゅうが施されたクロスです。
「私が結婚するときに母が持たせてくれたものと、夫のゴッドマザー(洗礼名を与えてくれる女性のこと。ギリシャでは家族同様に大切な存在)からのプレゼント。いずれも伝統的な刺しゅうなんです」
そして、テーブルの上にもフラワーアレンジを。さりげなく飾られた小さな花が、ギリシャの美しい野山を思わせます。
ゲストをたくさんの料理で手厚くもてなすのは、古代ギリシャからの伝統です。
「ギリシャ神話の最高神、ゼウスは、よその土地から来る客人を保護する神でもあります。私たちは、その精神を受け継いでいるのです」とイオアナさん。ぶどうの葉で米とひき肉を包んだ「ドルマダキア」、ミントやディルなどハーブを効かせた「ほうれん草のパイ」、オルゾというパスタを使った「牛肉とパスタの煮込み」。どの料理も、ワインとともに供されます。
そして、ギリシャ料理に欠かせないのがオリーブ。オリーブに加えて、季節の野菜や果物、チーズなどをバランスよくとるギリシャの食は、ユネスコ無形文化遺産に登録された「地中海食」の一部でもあります。
「おいしいうえヘルシーであることがギリシャ料理の特徴。たっぷり召し上がってください」
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK趣味どきっ!大使夫人のおもてなし』より

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