フルメンバー参加で大盛り上がり! 『将棋フォーカス』公開収録 in 相馬市

撮影:藤田浩司
2011年3月11日に発生した東日本大震災から8年の月日が経った。NHKでは毎年、被災地で「公開復興サポート 明日へ」を行っている。今年は相馬市を各番組が訪れて、『将棋フォーカス』もフルメンバーで参加した。
MCの髙見泰地七段、都成竜馬五段、乃木坂46の向井葉月さん、そして将棋講座の講師を務める菅井竜也七段と聞き手の鈴木環那女流二段が会場となった相馬市立中村第一小学校に駆けつけた。教室の一室で和やかに行われた公開収録の様子をお届けする。

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■相馬でも人気のやんちゃ流

「菅井流やんちゃ振り飛車」の講義は石田流三間飛車vs. 急戦の7月14日放送分が行われた。飛車交換は振り飛車よしがこの日のテーマだ。
菅井七段は「同じ価値の飛車の交換ですが、振り飛車陣のほうがスキが少ないので」とその理由を解説。参加したファンの方は振り飛車党が多く、明快で歯切れのいい菅井七段の語り口にうなずきながら耳を傾けている人も見られた。
スタジオ収録ではできない次の一手問題を出題。講師陣とファンが一体となり、楽しい番組に仕上がっていく。関西所属で岡山県出身の菅井七段が東北地方を訪れるのは今回が初めてだったが、やんちゃ振り飛車の人気は、ここ相馬の地でもかなり高かった。
講座の収録を終えた菅井七段は「やんちゃな手がたくさん出る回でよかったです。ファンの方の反応がとてもよくて楽しく解説することができました」と笑顔で振り返った。

■盛り上がったペア将棋

1手ごとに交代して指す席上ペア対局は、菅井七段と地元小学5年生代表・小谷津遥斗君のやんちゃペアvs.都成五段と向井さんのMCペアで行われた。
双方のチームは休憩時間に控え室で作戦を練った。向井さんは「初めて指します」という向かい飛車の研究に余念がない。都成五段に加えて髙見七段も参加して入念に手順を確認した。対する菅井・小谷津ペアは振り飛車で左桂を早めに跳ねる自由奔放な作戦に固まる。対局は両チームとも作戦どおりに指して相振り飛車に。実戦経験がほとんどない向井さんは両手で駒の利きを確認しながら慎重に指し手を進める。作戦タイムも両チームがいいタイミングで活用して大熱戦になった。都成・向井ペアがやんちゃ流のお株を奪う元気のよい指し回しで激戦を制した。
菅井・小谷津ペアは残念ながら敗れてしまったものの「楽しかった」と小谷津君。将棋との出会いは小学3年のとき。担任の先生に教わったのがきっかけだった。将棋の魅力について「駒を取ったり相手の玉を詰ましたりするのが楽しい」と話す。詰将棋で棋力向上を目指している。ペアを組んだ菅井七段から「しっかりした振り飛車らしい将棋」とお墨付きをもらいうれしそうだった。ぜひともやんちゃ振り飛車の使い手になってくれることを期待したい。
勝った都成・向井ペアは息の合ったところを見せた。都成五段は「葉月さんが悩んでいたのを隣で楽しんでいたのですが、強くなりましたね」と感心しきり。すると向井さんから「実は菅井先生にも助けてもらいました」とこっそりヒントをもらっていたことを明かす。それを抜きにしても4月にMCを始めて将棋に触れたばかりだというのに、見事な内容だった。向井さんは「少し成長できたと思いますし、これからもっと勉強していきます。駒がそれぞれいろいろな動きをするのが将棋の楽しいところだと思います。私、将棋に限らず真っ向勝負が好きなんです」と瞳を輝かせる。勝負師アイドルは「将棋が強くなりたいのはもちろんですが、環那先生みたいに将棋の詳しいトークができるようになるのが目標。頑張ります」と続けた。
※つづきはテキストでお楽しみください。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK将棋講座』2019年9月号より

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