趙治勲名誉名人が「メチャクチャ強いね」と評する政治家とは
4月にスタートし、早速大反響を呼んでいる連載「趙治勲名誉名人のどうでもいい碁の話」。2019年6月号では、あの政治家の棋力に迫ります。
* * *
昨年の暑いころでしたか(8月8日〜10日)、ソウルで日中韓の囲碁大会がありました。プロの棋戦ではなく政治家対抗戦。これまでは日本と韓国の間で開催されていたんだけど、今回初めて3か国合同で行われました。ぼくは日本チームのお手伝いみたいな役割。今月は政治家の囲碁事情についてお話ししましょう。
勢力地図どおり、やっぱり中国チームが強かった。悔しいんだけどさ、中国側は「メンバーのレベルを落としましょうか?」って言ってきた(笑)。まあ、日本は条件が悪いんですよ。段が甘いというか高いというか。もっとも日本の棋力認定は碁の力だけじゃないからね。人間的な要素も評価されます。碁は勝負だけではなく、芸でもあるんです、と言われていますが、どうなんでしょうか(笑)。
ぼくはずっと対局の様子を拝見していました。強い人、いっぱいいました。その中でね、いちばん目立ったのが衆議院議員の細野豪志さん。あの人はメチャクチャ強いね。覚えて2年くらいだって聞いて、さらに驚いた! 小さいころからやっていたら仲邑菫ちゃんと同じくらいになっていたかもしれない。
お世辞じゃないです。実は、対局前に少しお話をする時間がありました。インストラクターの稲葉禄子さんに教わっているそうです。道場? サロン? そこに時間があれば通っているんだって。で、こんなこと言いだして…。
「いつも稲葉先生に褒められています! 天才だそうです!」
ハイハイとおとなしく聞いていましたが、内心、こいつ何を言ってんだと思ったね。大切なお客さんに、「あなた下手すぎ! 才能ないよ」って言うわけがないでしょう? それに、本当に強い人は爪を隠すもの(笑)。皆さんも分かるでしょ? 碁会所の隅でろくに話さずひっそり座っている人ほど強いものだって。
でも実際に対局を見てみると、本当に天才でね。細野さん、もしここを読んでいたら、ぜひお願いします。あと3年、一生懸命囲碁を勉強してください。細野さんの知り合いが読者の中にいたら、彼を説得してください。大谷翔平選手のように、政治家と碁の二刀流はどうですかって。あ、国会議員にこんなこと言ったらさすがにまずいかな(笑)。
※後半はテキストでお楽しみください。
■『NHK囲碁講座』2019年6月号より
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昨年の暑いころでしたか(8月8日〜10日)、ソウルで日中韓の囲碁大会がありました。プロの棋戦ではなく政治家対抗戦。これまでは日本と韓国の間で開催されていたんだけど、今回初めて3か国合同で行われました。ぼくは日本チームのお手伝いみたいな役割。今月は政治家の囲碁事情についてお話ししましょう。
勢力地図どおり、やっぱり中国チームが強かった。悔しいんだけどさ、中国側は「メンバーのレベルを落としましょうか?」って言ってきた(笑)。まあ、日本は条件が悪いんですよ。段が甘いというか高いというか。もっとも日本の棋力認定は碁の力だけじゃないからね。人間的な要素も評価されます。碁は勝負だけではなく、芸でもあるんです、と言われていますが、どうなんでしょうか(笑)。
ぼくはずっと対局の様子を拝見していました。強い人、いっぱいいました。その中でね、いちばん目立ったのが衆議院議員の細野豪志さん。あの人はメチャクチャ強いね。覚えて2年くらいだって聞いて、さらに驚いた! 小さいころからやっていたら仲邑菫ちゃんと同じくらいになっていたかもしれない。
お世辞じゃないです。実は、対局前に少しお話をする時間がありました。インストラクターの稲葉禄子さんに教わっているそうです。道場? サロン? そこに時間があれば通っているんだって。で、こんなこと言いだして…。
「いつも稲葉先生に褒められています! 天才だそうです!」
ハイハイとおとなしく聞いていましたが、内心、こいつ何を言ってんだと思ったね。大切なお客さんに、「あなた下手すぎ! 才能ないよ」って言うわけがないでしょう? それに、本当に強い人は爪を隠すもの(笑)。皆さんも分かるでしょ? 碁会所の隅でろくに話さずひっそり座っている人ほど強いものだって。
でも実際に対局を見てみると、本当に天才でね。細野さん、もしここを読んでいたら、ぜひお願いします。あと3年、一生懸命囲碁を勉強してください。細野さんの知り合いが読者の中にいたら、彼を説得してください。大谷翔平選手のように、政治家と碁の二刀流はどうですかって。あ、国会議員にこんなこと言ったらさすがにまずいかな(笑)。
※後半はテキストでお楽しみください。
■『NHK囲碁講座』2019年6月号より
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