「何のための草刈りなんだ?」 ハーブ畑の除草をやめた那須高原の浜津さん

撮影:栗林成城
那須岳のすそ野に広がる栃木県那須高原。畑と林に挟まれた小道をやってくるのは、浜津伸生さんです。ハーブと野菜を育て、ブレンドしたハーブティーは都会のマルシェでも大人気。でもその「畑」は草ぼうぼう!? 自然を生かしたこだわりの畑を案内してもらいました。

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■「何のための草刈りなんだ?」

「これがラベンダーでこっちがレモンバーム。畝(うね)が草だらけで、どれがハーブかわからないでしょ」。そう言って笑う浜津さんは、5000坪の畑で年間50種類のハーブを育てています。以前は除草と施肥(せひ) をしていましたが、今はどちらもしない自然栽培。きっかけは草を見る目の変化でした。
「冬、霜柱に持ち上げられてハーブの根が露出したり、表土が風で飛ばされたりすることに悩んでいたとき、草の生えた田の縁には霜柱が立たず、土も飛ばされないことに気づいたんです。飼い始めたヤギのエサに草刈りをしていたら、傾斜した畝の上下で草の種類が違うことも発見し、草にも何か意味があるのかなと考え始めたんですよ」
それでも除草はしていた浜津さんを、ある出来事が変えました。「その日もバッタを蹴散らしながら草刈り機をかけていたのですが、ふと振り向いた瞬間、手が止まってしまったんです。そこにはまるで芝生のように人工的な畑。それを見たら、なぜこんなことをしているのかわからなくなっちゃって。虫のすみかを奪って、何のための草刈りなんだ?って」。
以来、浜津さんは草を生やしています。春には背の低いタンポポ、夏にはイネ科やキク科の草が伸び、秋にはそこにマメ科の草が巻きつきます。その草を少しよけて、浜津さんはハーブを植えます。「草刈りは、ハーブの日当たりを遮るところだけ。刈り草は畝に置き、ヤギやニワトリのふんをのせます。分解されて植物の養分になるのを待つんです」。冬には、草の根がしっかり張って、土の飛散を防いでくれます。
※後半はテキストでお楽しみください。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2019年6・7月号より

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