結城 聡九段と井山裕太NHK杯、垂涎の黄金カード

左/結城 聡九段、右/井山裕太NHK杯 撮影:小松士郎
第66 回NHK杯3 回戦 第8 局は結城 聡(ゆうき・さとし)九段(黒)と井山裕太(いやま・ゆうた)NHK杯(白)の好カードとなった。佐野真さんの観戦記から、序盤の展開を紹介する。

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■垂涎の黄金カード!

本棋戦で3期連続3回目の優勝を目指す井山裕太NHK杯にとって、2018年は前半と後半とで状況が一変した一年だった。
棋聖、十段、本因坊と順調に防衛を重ね「全七冠保持は当分続きそうだ」と誰もが思っていたはずである。しかし、夏場の碁聖戦で許家元にまさかのストレート負けで失冠すると、その後の名人戦でも張栩に3勝4敗で敗れた(その後の王座戦と天元戦では防衛)。
対するは、本棋戦での優勝5回という絶大な実績を誇る結城聡九段。NHK杯での通算勝利数71は趙治勲名誉名人の77勝に次ぐ2位で(ちなみに井山は33勝で20位)、今期も当然のようにベスト16まで勝ち上がってきた。
連覇を狙う第一人者と、NHK杯との抜群の相性を誇る実力者。まさにファン垂涎(すいぜん)の好カードと言うべき一局。ともに屈指の剛腕とあって、解説の石田秀芳二十四世本因坊は「ただごとでは済まない碁になるでしょう」と予言した。

■見慣れないワカレ


NHK杯で通算30勝以上を挙げている棋士の中で、勝率が7割を超えているのは三人のみ。本局の両対局者と張栩名人であり、全員が7割5分を超える高い数字だ。一流棋士だけが集う本棋戦においてのこの数字は驚異的で、特に結城が成し遂げた、第56回から61回にかけての「6年間で5回の優勝」は不滅の大偉業である。
同じテレビ棋戦である竜星戦でも、優勝と準優勝を2回ずつ果たしており、井山との通算対戦成績が6勝18敗であるにもかかわらず、NHK杯に限ると2勝0敗で、それが第57回と60回の決勝であるという点からも、いかにテレビ早碁を得意としているかが分かる。
白16に対し1図、黒1のオサエなら普通で、白6までが定石とされている。しかし結城は「黒が甘い」と認識しているようで、黒17の引きとなれば白18から黒27までは必然の進行である。

続いて解説の石田二十四世本因坊は2図、白1のツギを予想。黒2に白3とハジいて「白5をコウダテとするのでは」と語っていたが、黒aと対応されたあとの帰結が不透明ということで、実戦の井山は白28と隅を備えて我慢―黒が29と切るワカレとなった。 
※終局までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。
※肩書・年齢はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK囲碁講座』2019年3月号より

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