大鉢で魅力を引き出して! 花木を鉢植えで楽しむ

ハクモクレンとシモクレンの交配による品種群、サラサモクレン。1820年にフランスで作出された園芸品種がもとになっている。撮影:上林徳寛
鉢植えにはメリットがいっぱい。広い庭がなくても楽しめる。目に近い高さで花を楽しめる。ほのかな香りも間近で堪能することができます。鉢植え栽培が可能な花木を、樹木栽培家の上条祐一郎(かみじょう・ゆういちろう)さんが紹介します。

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一般に鉢栽培に向かないとされる高木ですが、成長が遅い種類なら大丈夫。10号以上の大鉢で育てれば多くの花が咲き、華麗な姿を楽しめます。ベランダやバルコニー、一戸建ての玄関まわりなどに最適です。

■モクレンの仲間

早春、葉が展開する前に木いっぱいに大きな花を咲かせる、春を代表する花木です。多くの原種や交雑種があり、花色も多様で、紫色から紅色、白色のほか、黄色い花を咲かせるものもあります。また、柑橘系のさわやかな微香を放つ花もあります。
ハクモクレンやコブシは成長が早く、大きくなりすぎるので鉢栽培には適しませんが、シモクレンやシデコブシ、ガールマグノリアと呼ばれる種類などは生育が比較的穏やかで、樹高1~1.2mで花をつけ始めるので鉢植えにも向きます。大鉢なら花がたくさんついて、モクレンの仲間らしいよさが楽しめます。
一年中日がよく当たる場所で育てますが、オオヤマレンゲなど夏は半日陰に移すべきものもあります。病害虫はほとんど発生しませんが、カミキリムシの幼虫が幹に入り食害することがあるので要注意。
モクレンの仲間は枝先に花芽がつくので、剪定はすかし剪定を中心に行います。つぎ木苗が主で、台木からのひこばえが多く発生するので、つけ根から切り取りましょう。

■ヤマボウシ

ヤマボウシは日本や朝鮮半島、中国原産の花木です。ハナミズキに似ていますが、開花期が遅く5~6月に花を咲かせます。また、果実は初秋に紅橙色に熟し、果肉は甘く生食できます。
最近は紅花や斑入り葉の品種、常緑性のホンコンエンシスなど外国産種やその園芸品種も入手可能です。一般的な白花のヤマボウシの苗は実生苗(みしょうなえ)が多く、樹高3m以上に育たないと花を咲かせませんが、つぎ木苗で出回る園芸品種は小さくても花を咲かせます。
とはいえ、少し大きめ(樹高2m程度)に育てたほうがヤマボウシ本来の雰囲気が味わえます。置き場は半日陰でもよいのですが、紅花品種は日当たりのよいほうが発色がよくなります。
※テキストではベランダなどの狭いスペースでも楽しめる花木をほかにも紹介しています。
■『NHK趣味の園芸』2019年3月号より

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