世界に一つだけの花! 交配の秘けつ

パンジー、ビオラの人工授粉はようじを使って行います。撮影:牧 稔人
世界に一つだけの花をつくってみませんか? じつは、交配しやすい花を選べば、園芸初心者にもこれまでにない個性的な花を生み出せる可能性は十分にあります。ぜひ、やってみてください。園芸研究家の奥 隆善(おく・たかよし)さんに、成功の秘けつを教えてもらいました。

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■交配とは?

植物における交配とは、2つの親株を選び出し、人為的に受粉させ、次世代に新品種を生み出そうとすることです。パンジー、ビオラ、宿根ネメシア、マーガレットなどは自家受粉しにくく、生育スピードも速いため結果が早く得られ、初めての人にも交配しやすくおすすめです。

■交配の成功の秘けつを伝授!

 
秘けつ1 生きている新鮮な花粉を使う
いつ雄しべと雌しべが熟すのかよく観察し、交配のタイミングを逃さないようにしましょう。花粉が出ていない花の未熟な雄しべを交配しても絶対にタネはつきません。また、花の種類によっては雄しべがあっても、もともと花粉が死んでいて授粉に使えない花もあります。花の種類にもより、例外も多いですが、新鮮な花粉は黄色く、死んだ花粉はたいがい茶色や白色です。日ごろからよく観察し、新鮮な花粉を見分けられるようにしましょう。
秘けつ2 数株用意して交配する
同じ品種でも株の個体差によってタネができやすい、できにくい、発芽しやすい、しにくいなどの違いがあります。1株だけだと、発芽しない可能性もありますが、同じ品種で3株ほど交配させれば、よいタネができる確率が上がります。
交配後は、雨の当たらない日当たりのよい場所に置き、水切れや病害虫に気をつけて、タネができるまで枯らさないように管理しましょう。水やりの際、花やタネがぬれないよう注意してください。
秘けつ3 一度であきらめない
交配したタネの1世代目の花は、いい結果を得られないことのほうが多いと思っておきましょう。品種の性質は次世代以降になって初めて現れてくることのほうが多いので、一回であきらめず2世代、3世代とタネをとり続け、可能性を信じるということも交配成功の大切なポイントです。ただし、「F1品種」は1世代目に限り品種の個性が現れ、2世代目以降はその形質を必ずしも受け継がないので、期待した結果が得られない場合が多いでしょう。
■『NHK趣味の園芸』2019年3月号より

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