肥料のキホンをおさらい

肥料をまく様子
ふだん何気なく施している元肥(もとごえ)と追肥。肥料にはどんな成分が含まれているのか、そして、なぜ施すタイミングを分ける必要があるのか、恵泉女学園大学人間社会学部教授の藤田 智(ふじた・さとし)さんに教えてもらいました。

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■肥料は植物のための食事

植物は光合成によって、生育に必要な養分の一部を作り出すことができますが、外部から吸収しなければならない養分もあります。そのなかでも必要量が多く、特に重要なのが、チッ素、リン酸、カリの3つです。主にこの3種類を肥料として施すため、「肥料の三要素」と呼ばれています。

■肥料の三要素の働き

チッ素、リン酸、カリ、それぞれの主な働きは次のとおりです。とはいえ、野菜が順調に生育するには、これら3つの要素がいずれも必要です。
チッ素(N)は「葉肥」ともいわれ、葉や茎の成長に大きく影響します。光合成をつかさどる葉緑素やビタミンなどのもとになる要素でもあります。
リン酸(P)は「実肥」ともいわれ、開花・結実に影響するほか、生育初期の根の成長を助けます。遺伝をつかさどるDNAや光合成にも関わります。
カリ(K)は「根肥」ともいわれ、根や茎葉を丈夫にします。新陳代謝を活発にしたり、生理作用を調整したり、生育の調整役としても重要な役割を果たします。

■肥料は元肥と追肥に分けて施す

野菜が必要とするこれらの肥料分を、元肥だけで一度に施そうとすると、土中の肥料濃度が濃くなりすぎ、根が傷みます。
また、根が一度に吸収できる肥料の量は限られています。吸収できなかった分は、雨などにより地下に流れてしまうため、再び野菜が肥料を必要とするときには、土の中の肥料分が足りなくなりがちです。さらに、根が吸収できずに河川などに流れ込んだ肥料分は、環境汚染の原因にもなります。
そこで、まず元肥を施し、その後、生育に合わせて肥料(追肥)を施すのです。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2018年12・2019年1月号より

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