姜 旼侯二段、院生師範の清成哲也九段に挑む

左/清成哲也九段、右/姜 旼侯二段 撮影:小松士郎
第66 回NHK杯2 回戦 第7 局は、清成哲也(きよなり・てつや)九段と姜 旼侯(かん・みぬ)二段の対局となった。高見亮子さんの観戦記から、序盤の展開をお伝えする。

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■辛抱してチャンスをつかむ

関西棋院のベテラン対若手の対決となったカード。清成哲也九段は、姜旼侯二段が院生のときの院生師範だったという。対局前の控え室は解説の結城聡九段も交え、和やかな雰囲気だった。
清成が「姜さんは院生のときからすでに日本語が上手だった」と紹介すると、姜は照れながら「日本のアニメや歌が好きで、来日前から日本語を勉強していました」。
結城九段が「収録のとき、お二人はお酒とカラオケという趣味が同じだと紹介しようかと思って」と提案すると、姜は「え〜」と照れ隠しの声を上げ、清成は「いやいや、どちらも二子くらい置かないと。カラオケは三子かな。手合い違い」と笑いながら応じていた。
両者は、趣味だけでなく、棋風も共通点があるようだ。「お二人とも地にカラく、シノギが強い」と結城九段は分析し、「どちらがペースを握るかが楽しみ」と語った。
和やかな雰囲気から一変、盤上は、いきなり激戦に突入した。

■亀さん流

AI流三々入りに衝撃を受けた当時、「星に打つ人がいなくなるのでは」という声も聞かれた。だが今は研究が進み、AIの打ち方を積極的に取り入れている棋士ほど星に打つ。すべて小目の立ち上がりを、結城聡九段は「逆に新鮮でいいですね」と評した。

白8は、最近有力視されるようになったコスミツケ。白10まで地にカラく、この局面では、続いて1図の黒1なら白2のカケが絶好で黒を低位にできる。これを嫌った黒11から17まで「微妙な駆け引きが続き、すでに見たことのない布石」と結城九段は言う。

黒19に対して、2図の白1から黒14までは、「昔からある形」(結城九段)で黒も治まる。姜旼侯二段は白20から22のケイマを選択した。左下黒への攻めを狙いながら右辺の消しの足がかりにもなる。「いいところです」と結城九段。「でも、白24は疑問でした」  一手戻って、黒23が「亀さん流」と呼ばれる清成哲也九段らしいトビだった。一見堅いのだが、反撃を狙っている。結城九段は「白24は保留して、26か上辺の大場がよかった。実戦は、黒が打ちたかった27の狙いを誘発してしまいました」と振り返った。
※終局までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK囲碁講座』2018年12月号より

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