つるバラの剪定と誘引はなぜ必要?

剪定と誘引をすれば、翌年はアーチにまんべんなく花が咲きます。撮影:田中雅也
冬の訪れとともに、バラは休眠期に入ります。この時期は、春の開花に向けて大切な作業が目白押し! 不要な枝や古い枝を切って整理する「剪定」と、美しく咲かせるために、枝を曲げて配置する「誘引」。この2つの作業を通して、翌春には花で埋めつくされた一面のバラ景色が楽しめるのです。バラ育種家の河合伸志(かわい・たかし)さんに、剪定と誘引が必要な理由をうかがいました。

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■つるバラはなぜ剪定と誘引をするのか

バラの季節になると、空き家などで手入れされていない状態で花を咲かせている、つるバラを見かけることがあります。そう、つるバラは人が剪定や誘引をしなくても、花が咲くのです。しかしよく見ると、自由奔放に伸びた枝が人の生活に支障をきたすような状態であったり、枯れ枝が目立ってせっかくの花が見劣りしたり、じつはさまざまな問題が隠れています。
本来しなくてもいいはずの作業をする理由はここにあり、剪定と誘引によって、つるバラは理想的な姿で、より美しく咲くのです。もう少し詳しい作業の目的は、次のとおりになります。
理由1 新陳代謝の促進
バラは、成長にともなってシュート(新しい勢いのよい枝)が出ると、古いシュートが徐々に衰退し枯れていきます。必要に応じて古いシュートを切り取り、主となる枝 (主幹) を新しいシュートに置き換えて、新陳代謝を促進します。
理由2 病害虫の予防
枯れた枝や小枝を剪定で除去することで、風通しがよくなります。株内部の蒸れを解消することは、病害虫の予防につながります。
理由3 美観の向上
枯れた枝や小枝を除去することで、見た目もスッキリ美しくなります。
理由4 樹形の調整
つるバラは誘引作業によって、樹形を整えます。一般にはアーチや壁面などの構造物を利用します。
剪定と誘引の適期は12月中旬〜1月下旬(関東地方以西の平地基準)になります。
早すぎる場合は、バラが十分に休眠していないため枝の水分量が多く、誘引作業の際に折れやすくなります。また遅くなると、ふくらみ始めた芽を誘引作業の際に欠いてしまったり、萌芽にばらつきが出て花が美しく咲きそろわないことがあるので、適期を守るようにしましょう。
※テキストでは作業の流れとポイントを写真入りで詳しく解説しています。
■『NHK趣味の園芸』2018年12月号より

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