バラの大苗の選び方

晩秋になると、このような形態で店頭に大苗が並ぶことが多い。撮影:成清徹也
ローズ・ヒップが色づく晩秋は、大苗が流通し始める季節でもあります。ただの枝のような大苗ですが、よい苗を選んで、正しく植えつければ、初心者でも手軽にバラを楽しめます。バラ育種家の河合伸志(かわい・たかし)さんに、よい苗を選ぶポイントを教えてもらいました。

■晩秋の大苗は秋までプロが育成

晩秋はバラが休眠に向かう季節ですが、この時期に流通し始めるのがバラの大苗です。一般に市販のバラ苗は、ノイバラなど丈夫なバラの根に(=台木)、園芸品種の枝(=穂木)を接着させる「つぎ木」という技術で生産されます。大苗はつぎ木後の小さな苗を、畑に定植して秋までプロが育て上げたものです。つぎ木後すぐに流通する新苗よりも大きく生育しているため、植えつけとその後の管理を適切に行えば、初心者でも簡単に育てることができます。

■葉がない大苗の選び方のコツ

休眠期に流通する大苗は、葉や花のない枝だけの状態のため、一見してよい苗か否かの見極めがしにくいです。一般には枝の太さや本数で判断しますが、それ以外の大切なポイントをご紹介します。

■よい苗の見極めのポイント

よい苗の基本は、太い枝が数多くあることです。ただし、枝が太ければよいわけではなく、充実していることが大切。下記のような未熟な枝は養分を蓄えていないため、春になっても力強い芽が伸びず、ひどい場合は枯れ込んでしまうことも。太く充実した枝が1本だと寂しく思えますが、春には細い枝が複数ある株より、結果がよくなります。
また、異品種間で苗の比較は難しく、品種によって枝数や太さが異なるので、単純に枝の充実度のみで選びます。
よい苗(充実した枝)
よい苗は、枝の側面に細い縦の筋が入り、枝の断面は髄が小さく、木質部が厚く発達している。


 
悪い苗(未熟な枝)
悪い苗は、枝やとげがみずみずしく柔らかい印象。枝の断面は、髄だけで木質部がない。枝にしわが寄っている場合は、乾燥させたおそれがあるので避ける。


※より詳しい選び方や、植えつけ・管理方法はテキストに掲載しています。
■『NHK趣味の園芸』2018年11月号より

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