中村太地王座に挑む——横山泰明六段の自戦記

左/中村太地王座、右/横山泰明六段 撮影:河井邦彦
第68回NHK杯戦2回戦第1局は、中村太地(なかむら・たいち)王座と横山泰明(よこやま・ひろあき)六段の対局だった。横山六段が寄せてくれた自戦記から、序盤の展開を紹介する。


* * *


■いつもと違う

新宿駅でいつも乗るはずの総武線には乗らずに山手線に乗る。棋士になってそれなりになるが、いつもと違う場所での対局は緊張する。
控え室に到着すると佐藤天彦さんが目に入り、今日の解説者だというのが分かった。それからしばらくして対戦相手の中村王座も現れ、少しずつ静かに緊張感が高まっていく。
インタビューはしゃべることを考えてきているのだがカメラの前では頭が真っ白になってしまう。これもいつもと違う、NHK杯ならではの体験といえる。

■中村王座

対戦相手の中村王座は「将棋フォーカス」の司会をされているので、NHK杯をご覧になられる方はほとんどご存じなのではないだろうか。昨年に王座のタイトルを獲得されてからは風格がついてきたと感じている。
大変な強敵だが、実はもっとも多く公式戦を指しているのが彼で、調べたところ本局が11局目だった。したがって棋風や作戦などはある程度は予想できた。
とはいえ当たるとは限らず、相掛かりになったのには意表を突かれた。序盤は不安を感じながら駒組みを進めた記憶がある。

 



■仕掛ける

中村王座の作戦だったのだろう。先手の▲2五飛(2図)が珍しい形で本局の注目ポイントである。飛車は2八や2六にいることが普通なのだが、▲2五飛のほうが横利きが通り積極的な動きができる。

 


駒組みが進むと作戦負けになりそうと判断して、3図から△7四飛〜△3五歩と仕掛けた。先に歩を損するので少し無理かなと思ったが、積極的に攻めていこうと決断した。もともと自分は攻めの棋風だから、早指し戦では棋風どおりに指したほうが力が出せると思ったのだ。

 


※投了までの棋譜と観戦記はテキストに掲載しています。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK将棋講座』2018年10月号より

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