上達のためにはよきライバルを持つことが大事

撮影:藤田浩司
2018年10月号からスタートした講座「振り飛車なんてこわくない」の講師を務める深浦康市(ふかうら・こういち)九段。将棋との出会いや、幼い頃のよきライバルについてお話を聞きました。

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■将棋人生の始まり 身近な好敵手に刺激を受けて

将棋との出会いは小学校1年生のとき父親に教わりました。おとなしい性格だった自分に何か趣味を持たせるために、との親心からでした。
当時は「面白いものがあるなぁ」と思ってルールを覚えて父親とも指しましたが、まだ友達と鬼ごっこをしているのが楽しい時期でした。
小学校4年生のときに大きな出会いがあります。4年生から始まる必修クラブに迷わず将棋を選んだ自分は、学校でいちばん強い5年生の野田くんにボコボコに負かされました。
悔しかった自分は長崎県佐世保市で将棋を教えてくれる川原先生に師事し、通い始めたのでした。
それを嗅ぎつけた(笑)野田くんも通い始め、奇妙な関係が築かれました。野田くんに勝ちたい一心の負けず嫌いが、長い将棋人生の始まりとなりました。
 

■上達のためにはよきライバルを持つことが大事

川原先生はアマチュア四段で、小学生2人に8枚落ちから教えてくださいました。それでしっかり勝てるようになったら6枚落ち…というように上達とともに上手の駒が増えていく指導法です。駒落ちの定跡を教わり上手陣の弱点を攻める指し方は、プロになった今でも応用の効くありがたい指導法でした。
野田くんとはどちらが先に先生に8枚落ちで勝てるようになるか、当然競争になります。最初の級は自分が7級、野田くんが6級です。先生に勝つようになるのも野田くんがいつも先で、自分はこのライバルに負けないように食らいついていきます。
2人の競争は1年半ほど続き、気がついたら野田くんは三段、自分は二段まであっという間に上達していました。
以来ファンの方に上達法を聞かれると、ライバルを持つことが一番、と答えています。
■『NHK将棋講座』2018年10月号より

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