健康作りに欠かせない日光浴 紫外線は大丈夫?

イラスト:Kiji-Maru Works
太陽の光を浴びることは、人間の体にどのような効果があるのでしょうか。日光浴の効用について詳しい医師の斎藤糧三(さいとう・りょうぞう)先生に聞いてみました。

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■Q 最近、日光浴ってしたことがないのですがおひさまに当たっても大丈夫なのでしょうか?

A 適度な日光浴は健康づくりのためにとても大切です!
がんや動脈硬化などの慢性疾患やうつ病などの原因の一つだということが分かってきているビタミンD不足。実はその理由は、おひさま不足でもあるんです。ビタミンDは紫外線B波(UVB)に当たることで、皮膚で合成されます。ところが女性を中心とした「美白」へのこだわりや、オゾン層破壊による南半球での皮膚がん増加によって、「紫外線は体によくない!」という概念が定着してしまったため、人々はなるべく直射日光を避けるようになってしまいました。その結果、現在ではなんと先進国の約4割の人がビタミンD欠乏症といわれています。
また、昔は母子手帳に「外気浴や日光浴をさせていますか」という記述がありましたが、紫外線の悪影響が大きな話題になったことを受けて1998年に「日光浴」という言葉が削られました。ところが近年、子どものくる病(ビタミンDの欠乏や代謝異常などによって骨がもろくなる病気)が増加しているという報告がされています。
紫外線が皮膚がんの原因になるというイメージを抱いている人は多いかもしれませんが、致死性の高いメラノーマという皮膚がんはむしろ日光に当たりにくい部位に現れることが多く、しかも屋内生活が長い人に発生しやすいという調査結果があります。皮膚がんを予防しようと紫外線を過剰に避けることは、むしろビタミンD不足によって引き起こされるその他のがんのリスクを高めることにもなるのです。適度な日光浴は健康な体づくりにとって、実はとても大切なんですよ。
■『NHK趣味どきっ! おひさまライフ』より

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