4人の掛け合いに会場大盛り上がり!「将棋フォーカス in 名取」現地リポート
- 文・写真:内田 晶
NHKが放送する人気番組の収録やイベントを東日本大震災の被災地で行う公開復興サポート「明日へ」が6月24日に宮城県名取市の名取北高等学校で行われた。
「将棋フォーカス」からはキャスターの中村太地王座と乃木坂46の伊藤かりんさん、講座講師陣は佐藤紳哉七段と谷口由紀女流二段が参加し、地元を中心に集まったファンとの交流を楽しんだ。
* * *
2011年3月11日に起きた大災害で甚大な被害を被った名取市。7年がたって復興が進んではいるが、災害の爪痕を残す場所も見られた。過去に多賀城市と南相馬市で同イベントに参加した中村王座は幼少期を仙台市で過ごした。「小学校時代の友人のお母様が被害に遭われたと聞きました。将棋やその他の思い出がたくさん詰まった宮城が大変なことになって心を痛めました」と神妙な面持ちで語る。続けて「将棋は娯楽で本来は気軽に楽しむもの。少しでも心の安らぎになっていただけるように楽しくお伝えすることを心がけています」と話す。王座や出演棋士の願いが通じたのか、会場からは多くの笑い声があふれる盛会になった。
■盛り上がる4人の掛け合い
オープニング映像は校舎の入り口脇に設置されていたイベント紹介ボードの前で行われた。中村王座が「将棋フォーカスチームも参加します」と言い、かりんさんが「はい、我々も頑張りましょう」と移動しようとすると待ったがかかった。
「ちょっとちょっとー、私たちも忘れないでくださいよー」と佐藤七段と谷口女流二段が慌て気味にやってきた。
エンジョイ将棋はオープニングでサンバ調のリズムに合わせて講師と聞き手が踊るところから始まるのが定跡だ。かりんさんが「お2人のダンスを生で見られるのが楽しみですね」というと、紳哉講師は「えっ、人ごとみたいに言っているけど今日はみんなで踊るからね」とフォーカスチームを巻き込む。棋士とアイドルの共演という新手で幕を開けた。
第1部は講座の公開収録から。オープニングはかりんさんが紳哉講師のお株を奪う「みなさーん、エンジョイしてますか」の問いかけに始まり、4人で両手をフリフリして講座へ。7月8日放送分の「駒損しない受け」を学んだ。
スタジオとは違って問題の解答を参加者に聞く授業スタイルを採った紳哉講師。正解すると拍手が巻き起こり、会場が一体になる。格言の「金底の歩、岩より堅し」の合唱も息の合った共同作業に。
続いて特集のトークショーも大いに盛り上がった。中村王座の初戴冠を振り返るとともに、将棋界の第一人者である羽生善治竜王への思いなど幅広く語った。
紳哉講師にはNHK杯戦の伝説のインタビューについて質問された。「豊島? 強いよね。序盤・中盤・終盤、スキがないと思うよ」というフレーズといえばお分かりの方も多いだろう。史上最年少の14歳2か月でプロデビューを果たし、29連勝の歴代連勝記録を塗り替えた藤井聡太七段の印象を聞かれた紳哉講師は「藤井君? すごいよね。序盤・中盤・終盤、半端ないと思うよ」とサッカーのワールドカップで流行した名言を取り入れて大型新人を絶賛。会場が笑いの渦になった。さすが持ち前のカツラ芸で盛り上げる将棋界のエンターテイナーだ。かりんさんに持ち芸を聞かれると「かれこれ10年ぐらいたつかな。けっこう年季が入っているのよ。マンネリ感があるので新しく印象に残るパフォーマンスを考えないと」と言ってニヤリとした。
谷口女流二段は結婚について語った。
「新しい名字にまだ慣れていなくて。今でも室谷さんと呼ばれることがありますよ」と話す。ちなみに対局の日の夜はなかなか寝つけないようだ。
かりんさんには将棋に興味を持ってよかったことが聞かれた。「やはり将棋界の皆様とのご縁ですね。初めは仕事でしたが、趣味が増えたことがうれしいです。負けると悔しくて。負けて悔しい思いをしても結局は将棋に帰ってくる。今では生きていくうえでのひとつです」とうれしそうに話す。かりんさんは先日、日本将棋連盟専務理事の森内俊之九段から初段の免状が贈られたばかり。「まだ段位が先行しているので勉強して真の実力をつけたい。乃木坂のメンバーにももっと普及したい」と力を込める。
※席上対局の様子はテキストでお楽しみ下さい。
■『NHK将棋講座』2018年9月号より
「将棋フォーカス」からはキャスターの中村太地王座と乃木坂46の伊藤かりんさん、講座講師陣は佐藤紳哉七段と谷口由紀女流二段が参加し、地元を中心に集まったファンとの交流を楽しんだ。
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2011年3月11日に起きた大災害で甚大な被害を被った名取市。7年がたって復興が進んではいるが、災害の爪痕を残す場所も見られた。過去に多賀城市と南相馬市で同イベントに参加した中村王座は幼少期を仙台市で過ごした。「小学校時代の友人のお母様が被害に遭われたと聞きました。将棋やその他の思い出がたくさん詰まった宮城が大変なことになって心を痛めました」と神妙な面持ちで語る。続けて「将棋は娯楽で本来は気軽に楽しむもの。少しでも心の安らぎになっていただけるように楽しくお伝えすることを心がけています」と話す。王座や出演棋士の願いが通じたのか、会場からは多くの笑い声があふれる盛会になった。
■盛り上がる4人の掛け合い
オープニング映像は校舎の入り口脇に設置されていたイベント紹介ボードの前で行われた。中村王座が「将棋フォーカスチームも参加します」と言い、かりんさんが「はい、我々も頑張りましょう」と移動しようとすると待ったがかかった。
「ちょっとちょっとー、私たちも忘れないでくださいよー」と佐藤七段と谷口女流二段が慌て気味にやってきた。
エンジョイ将棋はオープニングでサンバ調のリズムに合わせて講師と聞き手が踊るところから始まるのが定跡だ。かりんさんが「お2人のダンスを生で見られるのが楽しみですね」というと、紳哉講師は「えっ、人ごとみたいに言っているけど今日はみんなで踊るからね」とフォーカスチームを巻き込む。棋士とアイドルの共演という新手で幕を開けた。
第1部は講座の公開収録から。オープニングはかりんさんが紳哉講師のお株を奪う「みなさーん、エンジョイしてますか」の問いかけに始まり、4人で両手をフリフリして講座へ。7月8日放送分の「駒損しない受け」を学んだ。
スタジオとは違って問題の解答を参加者に聞く授業スタイルを採った紳哉講師。正解すると拍手が巻き起こり、会場が一体になる。格言の「金底の歩、岩より堅し」の合唱も息の合った共同作業に。
続いて特集のトークショーも大いに盛り上がった。中村王座の初戴冠を振り返るとともに、将棋界の第一人者である羽生善治竜王への思いなど幅広く語った。
紳哉講師にはNHK杯戦の伝説のインタビューについて質問された。「豊島? 強いよね。序盤・中盤・終盤、スキがないと思うよ」というフレーズといえばお分かりの方も多いだろう。史上最年少の14歳2か月でプロデビューを果たし、29連勝の歴代連勝記録を塗り替えた藤井聡太七段の印象を聞かれた紳哉講師は「藤井君? すごいよね。序盤・中盤・終盤、半端ないと思うよ」とサッカーのワールドカップで流行した名言を取り入れて大型新人を絶賛。会場が笑いの渦になった。さすが持ち前のカツラ芸で盛り上げる将棋界のエンターテイナーだ。かりんさんに持ち芸を聞かれると「かれこれ10年ぐらいたつかな。けっこう年季が入っているのよ。マンネリ感があるので新しく印象に残るパフォーマンスを考えないと」と言ってニヤリとした。
谷口女流二段は結婚について語った。
「新しい名字にまだ慣れていなくて。今でも室谷さんと呼ばれることがありますよ」と話す。ちなみに対局の日の夜はなかなか寝つけないようだ。
かりんさんには将棋に興味を持ってよかったことが聞かれた。「やはり将棋界の皆様とのご縁ですね。初めは仕事でしたが、趣味が増えたことがうれしいです。負けると悔しくて。負けて悔しい思いをしても結局は将棋に帰ってくる。今では生きていくうえでのひとつです」とうれしそうに話す。かりんさんは先日、日本将棋連盟専務理事の森内俊之九段から初段の免状が贈られたばかり。「まだ段位が先行しているので勉強して真の実力をつけたい。乃木坂のメンバーにももっと普及したい」と力を込める。
※席上対局の様子はテキストでお楽しみ下さい。
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