バラを秋に美しく咲かせるには

夏の作業で、秋バラを美しく。撮影:桜野良充
厳しい猛暑が落ち着きつつある晩夏。この時期は、バラの株姿を整えたり、さまざまな原因で不調となった株を回復させる適期になります。バラ育種家の河合伸志(かわい・たかし)さんが、秋に美しく咲かせるためのお手入れを教えてくれました。

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■株姿を調整し秋咲くバラの開花をそろえる

順調に生育した株は、晩夏には樹高が高くなっているものや、株姿が乱れたもの、大きく育ちすぎたものなど、さまざまです。8月下旬〜9月上旬に剪定することによって、これらをある程度調整することができ、より美しい姿で秋バラを楽しめたり、翌春の開花時の姿がよくなります。
また、コンパクトにまとまって生育している株でも、1株の中で花後の枝や蕾をつけた枝など、生育ステージはまちまちです。夏に剪定をすることで、秋にそろえて花を咲かせることができます。

■不調な株を回復させる

春には元気に花を咲かせていた株が、晩夏には、黒星病などいくつかの原因で不調となっていることがあります。
しかしそこであきらめず、この時期に回復に向けての作業をしておくことで、美しい秋バラを楽しめたり、来春の開花が期待できるようになります。今一度バラと向き合い、復活のためのお手入れをしましょう。

■夏に剪定しないと、どうなる?

観賞しづらく枝折れの危険も
順調に生育した株では、8月の時点で人の背丈ほどまで枝が伸びていることがあります。このまま秋バラの季節になると、さらに枝が伸びてより高い位置で花が咲くので、花を観賞しづらかったり、台風時の強風などにあおられて、枝が折れるなど、株を傷めてしまうこともあります。また、大きく横に枝が張り出した株などでは、管理がしにくく困ることもあります。
一季咲きの場合も夏剪定がおすすめ
一季咲きの品種は、秋には開花しませんが、生育旺盛な株は多数のシュート(新しい枝)を出し、どんどん伸びていきます。そのまま放置しておくと、枝が伸びすぎて収集がつかなくなるリスクもあります。
株を小さくするための剪定は、冬に行うことも不可能ではありません。しかし、品種によっては冬期に短く切り詰めると、花芽をもった枝を落とすことになり、翌春に花が咲かなくなる場合があります。
そこで、育ちすぎた株は夏の終わりに剪定して、コンパクトに仕立て直すのがおすすめです。
※テキストでは株の状態によって変わる夏剪定のコツ、よくある生育不良の症例と回復法を詳しく解説しています。
■『NHK趣味の園芸』2018年8月号より

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