買った魚のおいしさを保つ3ステップ

家に着いたらパックを開けて流水3秒、きっちり拭く。これだけで魚が生まれ変わります。撮影:山平敦史
魚は買ってきたあとの処理で味も香りも保存性も変わります。魚の下処理、これを“手当”といいます。使うのは、臭みの程度に応じて「水・塩・酒」の3種類。それぞれが果たす役割を知って、もっと魚をおいしく生かしましょう。魚の伝道師、“ウエカツ”こと上田勝彦(うえだ・かつひこ)さんが正しい手当を指南します。

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■ステップ1 水使い:生臭みのもとを水で取り除く

魚の生臭みの原因は、ほとんどが雑菌の繁殖した水分なので、買ってきたらまず「流水3秒」で表面を洗いましょう。切り身や塩サケも、野菜と同じく「洗って調理する」を習慣に。

洗ったら水けを取る
洗った魚をそのまま放置すると再び雑菌が繁殖することになるので、紙タオルや吸水布でしっかり拭いて水滴を残さない。
水洗いしても生臭みが残っていたら次のステップへ。

■ステップ2 塩使い:しみ込んだ臭みを水分とともに吸い出す

塩の仕事は「脱水」。流水で落ちない臭みは、表面の細胞に水とともにしみ込んでいる可能性があるので、まぶし塩※をして3秒おいて洗い、しっかり拭くことで、水分とともに臭み成分を吸い出します。

※ひとつかみの粗塩を、魚全体にまぶすように当てる下処理。臭みを取るときや保存性を高めたいときはこの方法で。
ここまで手当しても、まだ生臭みが残っていたら……

■ステップ3 酒使い:しつこい臭みは酒で分解

水でも塩でも臭みが取れない場合、最終手段は酒の力。ただし、必ず先に塩で臭み成分を引き出してから使うこと。糖類や酸味料を含まない安い酒を選んでください。おちょこ1杯程度の日本酒を全体に3秒まぶし、流水で3秒洗い、しっかり拭きます。臭みが消えていれば成功です。

2つの酒使い
・臭み成分を分解する
酒に含まれる有機酸が生臭みのもとを分解。下処理の場合は味つけが目的ではないので、まぶして長くおかないこと。
・細胞をゆるめる
酒は細胞をゆるめるので、最初に酒で煮たり蒸したりすると、ふっくらと仕上がり、調味料も入りやすくなります。
■『NHK趣味どきっ! うまい!はやい!ヘルシー! 毎日さかな生活』より

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