山野草の風情を損なわずにスミレを栽培するには

日本種の一つ「シレトコスミレ」。北海道・知床半島の山地で岩場などに自生する。白色で中心部が淡い黄色になる。平地では夏越しが難しい。草丈5〜7cm。撮影:伊藤善規
小輪の可憐な花こそスミレの魅力。野にある花を野にあるように咲かせて、新たなスミレの魅力を発見しましょう。園芸研究家の久山 敦(くやま・あつし)さんが、スミレ栽培のポイントを指南します。

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■有機質を用いない

スミレ栽培では、腐葉土など有機質の用土を用いないのがポイント。多湿を嫌うスミレにとって有機質の土は、夏に根腐れの原因となる可能性があります。また多肥などにより土が肥沃になりすぎると、一時的には花がたくさん咲きますが短命になりがち。用土は中粒の日向土、硬質で中粒の赤玉土を等量で配合したものが本来の山野草らしい風情を楽しめ、長生きさせられます。

■短命なスミレを閉鎖花で更新

スミレは1株に開放花と閉鎖花をつけます。開放花は花を開き他家受粉するため、交雑してタネにばらつきが生じることがあります。
一方、花を開かず自家受粉する閉鎖花の種子は、親と同じものができます。続けて栽培したい種類があれば、閉鎖花の種子を使って株を更新したほうが、発芽率もよく安定的です。

■スミレのタネまき

閉鎖花のタネは飛ぶ前に取り出してそのまままくか、冷蔵庫(0〜5℃)で保存し12〜2月にまきます。平鉢に右の用土を3分の2程度、上部の3分の1にみじんを抜いた2〜5mm粒の清潔な日向土または赤玉土などを入れます。直射日光の当たらない場所に置き、ジョウロで水やりするか、腰水にします。3〜4月ごろ発芽しますが、その後の乾燥は禁物なので腰水が安心です。
■『NHK趣味の園芸』2018年3月号より

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