ユーフォルビアに適した用土配合

オベサをベースにした交配種‘オベサ梵天’。元のオベサに比べ、やや筒状に育つ。撮影:田中雅也
人気の多肉植物のなかでも、確固たる地位を築いているユーフォルビア。ころんとした愛らしいフォルムのオベサやサボテンのようなとげのあるホリダ、はたまた紅麒麟(べにきりん)のようにいくつもの突起ができる「タコもの」と呼ばれるものまで、形のバリエーションが豊富なところにコレクション心をそそられる人も多い。ほかの多くのサボテン・多肉植物同様、乾燥に強く、頻繁な水やりも必要ない。
「そういうと育てやすそうに聞こえるかもしれないんですが、案外簡単に枯れることもあるから油断できないんですよね」
そう語るのは、奈良県で多肉植物の生産を手がけている松岡修一(まつおか・しゅういち)さん。ユーフォルビアをはじめとする多肉植物の育種も行っている。
「根が傷んだのに気づかないで過湿にしてしまうと、一晩で枯れてしまうこともあるんです。だから、ほかの多肉植物に比べて、用土の配合を少しだけ水はけよくしたほうが、うまく育つと思いますよ」
松岡さんがサボテン・多肉植物を栽培する際に使用する用土は赤玉土小粒2、鹿沼土小粒3、馬ふん堆肥3、バーミキュライト1、珪酸塩白土1を配合したもの。
「そして、この量の1割にあたる川砂。これを加えると、根のダメージをだいぶ軽減できるはずです」
また、ユーフォルビアは中性よりもpHの値が低い、弱酸性土壌で自生している。川砂の代わりに土壌のpHを上げるくん炭を使っても育つか、試験を行っているそうだ。
ユーフォルビアの楽しさは、種類ごとの違いが多様であることだけでなく、実生(※1)の際に出る変異もまた多様なことである。最近は、そうした変異を追い求めてタネをまく人がふえている。
「ただし、人気のオベサなどは雌雄異株(※2)なので、1株ではタネがとれません。必ず、花粉を出す雄株とタネをつける雌株が必要になります。雄株に比べると雌株のほうが絶対数が少ないのでちょっとレアなんですが、最近はタネをとってまく人がふえて人気なのですぐに売れてしまいます」
テキストに掲載している雌花の見分け方を参考に雌株を探し、タネをとってみるのもおもしろいかもしれない。
※1 タネをまいて新たな株をふやすこと。こうしてふやした株を実生株と呼ぶ。
※2 雄の花と雌の花が分かれている植物のうち、それらが同じ1つの株につかない植物のこと。
■『NHK趣味の園芸』2017年11月号より

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