2030年代に社会の中心となる「α世代」とは? その特性や消費観にスポットを当てた一冊

新消費をつくるα世代 答えありきで考える「メタ認知力」
『新消費をつくるα世代 答えありきで考える「メタ認知力」』
小々馬 敦
日経BP
1,980円(税込)
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 現在のトレンドの担い手であり、今後のマーケットのメインとなる層は、1997年~2009年に生まれた「Z世代」だと考える人は多いかと思います。けれど、今後はその下に育つ「α世代」まで見据えたマーケティングが必要となっていきます。α世代とは2010年~2024年生まれの世代のこと。2024年時点では14歳(中学2年生)以下の若年層であるため、社会的に大きな影響力はないように感じますが、今から10年後の2034年となると、かなり異なる景色が見えてきそうです。今回ご紹介する『新消費をつくるα世代 答えありきで考える「メタ認知力」』は、そんなα世代が社会の中心に躍り出る2030年代の消費と社会像の在り方を考察する一冊です。

 皆さんの中には、Z世代の若者たちを見て「自分たちとはまるで感覚が違う!」と感じる人もいるかもしれません。けれど、Z世代とα世代では価値観や行動にさらなる変化が見られるといいます。たとえば、どちらもデジタルネイティブであることに変わりはありませんが、「Z世代は自分が納得できるまでSNSで情報を調べるのに対して、α世代は、何が正解なのかをすぐに知りたいと考え、情報を調べることに手間と時間をかけたがりません」(同書より)とのこと。α世代は幼いころからデジタルデバイスやAIが生活に浸透しているため、信頼できるソースが示すものを"正しい答え"として受け取れば事が済むと考えるそうです。

 この場合の"正しい答え"とはいたってシンプルで、「人びとの価値観が多様であることを前提とするのであれば、みんなにとってより良いこと社会的に正しいことが『正解』という考え方」(同書より)。そして、あれこれ意見をぶつけ合うよりも直ちにみんなで答えを共有し、その答えを実現させるための活動のほうに時間をかけることを重視するそうです。

 ここで大切になってくるのが、物事をさまざまな面から捉えて解決するという「メタ認知」の力。すでに小中学校ではα世代に対してメタ認知を養う教育が始まっており、彼らが社会の中心となる2030年代にはそうした層に向けたマーケティングが求められることが考えられます。同書ではそのヒントとして、Z世代・α世代の購買行動プロセスを表す「EIEEB」やゆるいつながりを意味する「界隈マーケティング」といった新たなワードを用いながら、今後予想される市場について解説しています。

 なんだか未来予想図を語っているようにも聞こえますが、2030年代といえばたった10年後の話。今からそのために備えておいて遅いことはないかと思います。同書はα世代とともに新たな時代を作っていきたい企業やマーケターにとって、必読の書となるのではないでしょうか。

[文・鷺ノ宮やよい]

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