著者累計50万部超の人気予備校講師が送る、「歴史の本当の見方」が学べる本
- 『バトルマンガで歴史が超わかる本』
- 茂木 誠,大久保 ヤマト
- 飛鳥新社
- 1,500円(税込)
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人間の歴史とは戦いの積み重ね。およそ2500年の間、さまざまな国と国がぶつかり、勝負を繰り返してきた結果が、私たちがいま住んでいる世界ということになります。この中から歴史に大きな影響をおよぼした18のバトルをピックアップして紹介しているのが、『バトルマンガで歴史が超わかる本』です。
著者は人気予備校講師の茂木 誠さん。マンガは大久保ヤマトさんが担当しています。各パートでは、バトルの様子をマンガで迫力たっぷりに再現するとともに、中学1年生の「小太郎」と古代ギリシアに生きた歴史家トゥキディデスの化身である「つきじい」のふたりが登場し、バトルが始まった理由や時代背景、のちの歴史への影響などを会話形式で紹介する構成になっています。
ローマ帝国VSユダヤの「ユダヤ戦争」(1世紀)、元(モンゴル帝国)VS日本の「文永・弘安の役」(13世紀)、ヨーロッパ諸国VSフランス革命政府の「フランス革命戦争」(18世紀末)、大日本帝国VSロシア帝国の「日露戦争」などが取り上げられている同書。ためしに、中国の漢民族の王朝「宋」と女真族の王朝「金」の間に起きた「宋金戦争」のパートを見てみましょう。
マンガで描かれているのは、貢ぎ物を要求してきた金に南宋の宰相・秦檜(しんかい)が和議を申し入れ、それに反対した南宋の将軍・岳飛が謀殺される場面。
つきじいは「つまり南宋は、経済援助で平和を買っていたのじゃ」(同書より)と説明します。その後、モンゴル帝国の出現により金は滅ぼされますが、今度はモンゴル軍が南宋に対して貢ぎ物を要求。けっきょく、「カネで平和を買う国はいずれ滅ぼされる」と同書はまとめています。軍事力を持たない国はどうやって自分たちの国の平和を守ればよいのか。これは今の時代にも通じる問題です。過去の事例から、今の時代に生かせるものはないか考えることも、私たちが歴史を学ぶべき理由のひとつでしょう。
「今も、遠くのどこかで戦争が起こっています。弱い国が、強い国に滅ぼされようとしています。この世界は、弱肉強食。それが歴史の法則です」と同書の冒頭に記されています。現在は「遠くのどこか」とも言っていられないほど身近に感じている人も多いでしょう。
過去の戦いを見ることは、世界の歴史を把握するとともに、平和について改めて考える機会にもなるはずです。年号や史実を覚えるだけではない、「歴史の本当の見方」を学べる同書。これから社会に出ていく子どもたちはもちろん、大人の学び直しにも適した一冊です。
[文・鷺ノ宮やよい]