がむしゃらに成功を求めても幸せにはなれない! 苦悩から解放される「コンシャスネス(意識)」という学び

世界のエリートが実践する 心を磨く11のレッスン
『世界のエリートが実践する 心を磨く11のレッスン』
Nami Barden,河合 克仁,Krishnaraj
サンガ
1,760円(税込)
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 地位や名誉、お金を手に入れた世界の経営者やトップエリートたちは、皆が皆、幸せになっているのかというと、必ずしもそうとは言えないようです。

 「違和感に気がつきながらも、みんな心の声を押し殺してスピードを緩めずに突き進み、気がついたときには身体の異変が出始めたり、急な身体やメンタルの不調を訴えるようになる」といった場面を幾度となく目にしてきたというのは、本書『世界のエリートが実践する 心を磨く11のレッスン』の著者のひとりである河合克仁氏。

 では、こうした苦悩から解放されるためには何が必要になってくるかというと、クリアで美しい心の状態になるための「コンシャスネス(意識)」なのだそうです。本書は、その学びについて知ることができる一冊となっています。

 そもそもコンシャスネスとは、「心の在り方を学ぶものであり、体感を通して自分自身と世界の在り方の本質を知ることである」(本書より)とのこと。なんだか概念的で、すぐに理解するのは難しいと感じる人も多いかもしれません。本書では、自分の状態をチェックできるリストを取り入れたり、心の磨き方のステップが丁寧に解説されていたりするため、コンシャスネスを学ぶ初心者にもわかりやすい内容になっています。

 ここで中身について少しご紹介しましょう。私たちの苦悩を引き起こすものとして、本書で頻繁に出てくるのが「エゴセルフ」という言葉です。これは、「お金が欲しい」「もっと有名になりたい」といったように、心の中で自分を再定義し、他人とは違うユニークな存在であることを求める心理のこと。エゴセルフを基にした生き方をしていると、幸せや心のつながりなどすべてが他人との比較によるものになってしまい、自分で自分を苦しめてしまいます。

 そこでレッスン5で教えているのが、「他人との比較から抜け出す7つの質問」です。「自分ではない『何者か』になろうとしていないか?」「『〇〇であるべき』という正しさに縛られていないか?」「他人の文句を言っていないか?」といった7つの質問を自分に問いかけて振り返ることで、「自分の本質とは何か」というところに目を向け、「私は誰にもならなくていいんだ、ありのままの自分でいいんだ」(本書より)と感じることができるようになるといいます。

 ほかにも、レッスン3では「執着を手放す3つの質問」、レッスン7では「他人や環境に影響されない『しなやかなビジョン』の描き方」、レッスン8では「『いちばん大切! でもすごく難しい』パートナーシップ11の教え」など、本書では全部で11のレッスンを収録。インドのコンシャスネス講師・クリシャナラジ氏がレッスン1、2、9、10、11を主に執筆(翻訳はナミ・バーデン氏)、それ以外のレッスン3~8はハワイ在住のコンシャスネス講師&カウンセラーのナミ・バーデン氏が執筆、筑波大学の非常勤講師で内閣府地域活性化伝道師でもある河合氏が「はじめに」と「序章」、各レッスンのまとめを執筆するという構成になっています。

 コンシャスネスはまだ日本ではあまり浸透していませんが、グローバルレベルでは大変人気のある学びの一つだそうです。この考え方をこれまでの日常に少し取り入れるだけでも、苦悩を感じやすい人にとっては大きく違ってくるかもしれません。

 なお、本書は2018年に出版された『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』(すばる舎)をさらに深掘りした内容となっています。興味を持った方は、基礎編としてまずこちらから読んでみるのもおすすめです。

(文・鷺ノ宮やよい)

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