中国2000年の歴史、"薬膳"の魅力とは?

聘珍樓(へいちんろう)のいちばんやさしい薬膳
『聘珍樓(へいちんろう)のいちばんやさしい薬膳』
聘珍樓薬膳部
PHP研究所
1,728円(税込)
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 梅雨に入り、重だるさや倦怠感に悩まされることも多いこの季節。そんなときには"薬膳"の力を借りてみてはいかがでしょうか。

 薬膳とは、中国で2000年前からあるという伝承医療"中医学"の理論を反映させながら、食材を組み合わせたもの。体の機能を停滞させず活発に動かして、体に本来備わっている元気を発動させようとする試みであり、そこには先人たちの知恵を見てとることができるのだといいます。

 たとえば薬膳では、食材の効能を成分や数字で表すのではなく、体にどのように届くかで考えます。

◆ 寒性:とても冷やす
◆ 涼性:少し冷やす
◆ 温性:少し温める
◆ 熱性:とても温める
◆ 平性:冷やしも、温めもしない

 春や夏であれば、寒涼性の食物で体の熱をとり、秋や冬には温熱性の食物で温める。あるいは、運動やお酒のあとの喉の腫れには寒涼性の鎮静作用で機能を正常に戻し、冷えや肩こり、むくみなどには温熱性の働きで不調を緩和するといったように使うそう。

 また薬膳では、血を蓄える場所である"肝"、全身を脈打たせて血を送り出す"心"、消化器系全般を表す"脾"、呼吸によって中医学で大切な気を作り出す"肺"、全身の水分量の調節をする"腎"を五臓と呼び、この五臓は季節と連動すると同時に、それを支える味があると考えられているのだといいます。

 たとえば、梅雨やその後やってくる猛暑では、"脾"が機能ダウンし、"心"への負担がかかるため、これを避けるために薬膳では、お腹に力をつけ、心と体を穏やかにする食事を工夫するそう。

 本書『聘珍樓のいちばんやさしい薬膳』には、さまざまな薬膳レシピが紹介されていますが、ここではそのなかから手軽に作れる一品を紹介。"きゅうりのガーリックあえ"です。

 まずは、きゅうり2本を一口大の乱切りにし、塩をまぶしてしばらくおき、少し塩気が残るくらいまで流水で洗い水気をきります。そして、みじん切りにしたにんにく(3かけ分)をボウルに入れ、塩、こしょうをふり、サラダ油(大さじ2)、ごま油(小さじ1)、ラー油(小さじ1/2)を合わせ熱してかけます。冷めたら、フライドガーリック5gと赤ピーマン5gを粗みじん切りにしたものを加えて混ぜ、きゅうりを入れてあえ、煎りごまをふるだけ。

 薬膳の力を借りながら、梅雨そして猛暑を乗り切りましょう。

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