絶対王者ジョコビッチが語る、ダイエットプログラムの落とし穴とは

ジョコビッチの生まれ変わる食事
『ジョコビッチの生まれ変わる食事』
ノバク・ジョコビッチ
三五館
1,512円(税込)
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 テニスの四大大会、全仏オープンで、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)が初優勝を果たし、キャリアを通じて四大大会すべてを制する「生涯グランドスラム」を達成しました。

 現在のテニス界で絶対王者の地位を確立しているジョコビッチ選手ですが、若いころは、試合中に呼吸困難で倒れたり、吐き気をもよおすなど、突然の体調不良に襲われることも多く、伸び悩んでいた時期もありました。また、彼は2010年が"プロ生活で最低の瞬間"だったと自身の著書『ジョコビッチの生まれ変わる食事』の中で綴っています。

「私にとって、プロ生活で最低の瞬間が、2010年1月27日のあのダブルフォルトだった。しかし、2011年7月までに──あれからわずか18カ月後である──私はまったくの別人になっていた。体重が約5キロ落ち、かつてなく強靭になり、子供時代から振り返っても1番の健康体になった。そして、生涯の目標だった2つのゴールに到達した。ウィンブルドン優勝と世界ランキング1位だ」

 ジョコビッチ選手は、"あること"に注意したことで、わずか18ヶ月の間に、「私をただの『そこそこ良い選手』から『世界最高の選手』に生まれ変わらせた」と告白します。そのあることとは食事。

「私の無駄な体重を落とし、集中力を高め、生まれてこのかた最高の健康状態を作り出してくれたのは新しいラケットでも、新しい練習でも、新しいコーチでも、新しいスタイルのサーブでもなかった。それは、新しい食事だった」(同書より)

 食事を変えただけで、なぜそこまでジョコビッチ選手は劇的にパフォーマンスの変化が得られたのか。実は彼の"生い立ち"に起因していることでもありました。

 ジョコビッチ選手の少年時代、母国セルビアはNATO軍の空爆下にありました。彼は、爆弾が飛び交う空の下で日々テニスの練習に励んでいたといいます。また、けたたましい爆発音を聞きながら防空壕の中で一晩中避難していたこともあったそう。

 当時のセルビア人にとって"命の綱"は小麦粉。戦時中、家族の食事を安価にまかなうには、一番安い油と砂糖、小麦粉を買いパンを焼くことでした。更にジョコビッチ選手の両親はピザ屋を経営していたこともあり、彼は非常に多くの小麦粉を摂取する状況にありました。

 しかし、そのことが後にジョコビッチ選手を試合中に呼吸困難に陥らせ、体調不良の波を引き起こす原因そのものでした。まさか自分が小麦に対して強い不耐症がある--つまり小麦アレルギーである--ことは2010年に栄養学者セトジェヴィッチ博士と出会いアレルギー検査をするまで知る由もありませんでした。

 彼はそれから体内の声に耳を傾け、どの食材が合っているのか確認し、体が求める食生活を開始。そして辿り着いたのが現在の彼の基盤であるグルテンフリー(麦に含まれているたんぱく質、グルテンを排除する)な食生活でした。

 ジョコビッチ選手の目覚ましい活躍と、同書の影響もありその後、世界的なグルテンフリーブームが到来。今では、グルテンフリーダイエットは、ある種、定番化していると言っても過言ではありません。

 しかしグルテンフリーダイエットは、そんなに"万能"なものなのでしょうか? ジョコビッチ選手は同書の中でも、こうも語っています。

「ほとんどのダイエットプログラムでは、相手が27歳のテニス選手でも、35歳の二児の母親でも、50歳の副社長でも、同じものを"食べなければならない"と指導する。バカげた話だ」

 たしかに100人いれば100通りのダイエットプログラムがあってしかるべき......さすが、世界最高のテニスプレイヤー、ぐうの音もでないほどの正論です。みなさまも、この機会に、自分の身体がほんとうに必要としている食生活とはどんなものなのか、考えてみてはいかがでしょうか。

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