都議会でセクハラヤジ......女性支援ってなに?

女たちのサバイバル作戦 (文春新書 933)
『女たちのサバイバル作戦 (文春新書 933)』
上野 千鶴子
文藝春秋
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 今月18日、東京都議会の本会議で「みんなの党Tokyo」の塩村文夏議員が妊娠、出産等の支援体制について質問をしていたところ、複数の男性議員から「お前が早く結婚した方がいい」、「産めないのか」といったヤジが飛び交ったことが話題となっています。

 ヤジられた塩村議員は即日、自身のフェイスブックでこう記しています。

「政策のヤジはいくらでも受けますが、セクハラ発言を議場で堂々と...。いま、数時間経って冷静に考えていますが、やはり女性を侮辱した言葉を見過ごしていいのかと悩んでいます。子育てや不妊の悩みを抱えた多くの女性の心を傷つける行為であり、私自身も大変に
傷つきました」

 塩村議員が言うように、件の発言はヤジではなく、重大なセクシャルハラスメントにあたります。

 また、議会に出席していた同党の音喜多駿議員も公式ブログ上で、こう怒りをぶつけています。

「選挙のときに、有権者の前では『女性の社会進出を促進します!』、『子育て支援にしっかりと取り組みます!』と言っている議員たちが集まる議会で、このような野次が飛び、それを笑う議員が大勢いる。それが我が国の首都、東京議会の実態です。(中略)民意の代表たる議員が集まる議会がこれほど古色蒼然とした状態で、東京都の女性活用や子育て支援が進むはずがありません」

 なお、問題の声は自民党議員の座る席の方から聞こえたとのことで、同党の両角みのる幹事長は、今後、都議会で問題提起する方針を示しています。また、塩村議員は「『お前が結婚しろ』と言った議員はほぼわかっています」(同フェイスブックより)と、"犯人"を特定している様子。ヤジった議員は今、何を思っているのでしょうか。大いに反省していただきたいものです。

 今回紹介するのは日本のフェミニズムを牽引してきた上野千鶴子さん著『女たちのサバイバル作戦』。男女雇用機会均等法から今日に至るまでの30年間、日本の女性たちを見つめてきた上野さんが、「日本の働く女性は幸せになったか?」を問うた1冊です。東京都、いや日本全体で女性活用や子育て支援策を進めようというのであれば、まず、女性たちが置かれている状況を正確に把握する必要があります。とりあえず、今回、野次をした都議会議員は、この本を読むか、上野先生にしばかれておいた方がいいかもしれません。

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