仮設住宅の広さ、標準的な面積はわずか29.7㎡(9坪)

仮設のトリセツ―もし、仮設住宅で暮らすことになったら
『仮設のトリセツ―もし、仮設住宅で暮らすことになったら』
岩佐 明彦
主婦の友社
1,404円(税込)
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 3月28日に復興庁が発表した大震災による全国の避難者は34万4345人(3月22日現在)。そのうち、公民館などの避難所が388人で、旅館・ホテルが99人、また、親戚・知人宅に1万7501人が避難しています。そして残った32万6357人が仮設住宅・公営住宅に住んでいます。いまなお多くの方が仮設住宅・公営住宅で生活されていることがわかる数字です。

 そのほとんどの方が、自分が仮設住宅で生活することになるとは思っていなかったはず。そして同様に、今後、私たちも突然の災害により仮設生活を強いられることもあるのです。

 書籍『仮設のトリセツ』では、大震災で被災し、実際に仮設に入居されている方から話を聞き、そこから見えてくる課題をはじめ、前向きに暮らすためのアイデアを紹介しています。実際に仮設生活をおくっている人の課題は下記のとおり。

Q.困っていることはなんですか?
1.収納(狭さ) 2.暑さ(寒さ) 3.退屈

Q.交友を深めるためにしていることは?
1.あいさつ 2.集会所に行く 3.イベントに参加

 災害救助法で示された標準的な仮設の面積はなんと29.7㎡。たった9坪しかないのです。同書で紹介されているアイデアは、例えば、玄関前に作った冷気を防ぐ「風除室」を有効活用したもの。物干し竿やラティスハンガーを引っ掛け、干し柿を吊るしている仮設もあります。構造材が露出した風除室の壁面は、棚を作るのにもってこい。靴箱にしたり花を飾ったりと、アイデアが広がります。収納、花壇、ベンチ、犬小屋までも風除室に詰め込んだ驚異のオールインワンを実現した仮設もあります。

 また、周囲とのコミュニケーションにも、様々な工夫がされています。例えば、通路にイスやテーブル、パラソルを置くだけでも団らんの輪ができやすくなります。共同で植物や野菜を育てるのも良いでしょう。会話に花がさきます。さらに、マグネットシートでオリジナル表札を作り、目立っている仮設もあります。意外と本格的な表札を作っている仮設も。

 東日本大震災での仮設住宅の建設数は52191戸。多くの家庭で同じような悩みを抱えていますが、少しでも豊かな仮設暮らしができるようにと、アイデアを駆使し、アイデアを大切にしています。

 『仮設のトリセツ』は、いつか訪れるかもしれない災害に向け読んでおくのはもちろん、現在、仮設住宅に住んでいる方々の暮らしぶりを知ることができ、今、読んでおく一冊と言えます。

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