リーダーシップでいちばん大切なこと

リーダーシップでいちばん大切なこと
『リーダーシップでいちばん大切なこと』
酒井 穣
日本能率協会マネジメントセンター
1,650円(税込)
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 あなたが考えるリーダーとは、どのような人でしょうか。一般的にリーダーシップとは「価値観を示し、人を巻き込む力」のこと。リーダーとは、そうした力を持った人のことを指します。

 過去のリーダーシップに関する研究は、主に「人を巻き込む力」の部分に注力してきた感があります。マーケティング(自分の思う方向に、他社を動かす活動)に近い話として、実利を求める人々の関心を誘ったのかもしれません。しかし、書籍『リーダーシップでいちばん大切なこと』の著者・酒井穣さんは、「人を巻き込む力」よりもむしろ、「自分の価値観を示す」という部分にリーダーシップを感じると言います。

 「自分の価値観を示す」という意味でリーダーを考えれば、例えば、画家のゴッホは美術史における偉大なリーダーだと酒井さん。しかし、現代でこそ高く評価されているゴッホの絵は、生前はたった1枚しか売れませんでした。それどころか、ゴッホが贈り物として人にあげた絵の中には、観賞用としてではなく、壁の穴をふさぐために利用されたものさえあったとか。

 生前には、フォロアー(=リーダーについてくる人)などまったくいなかったゴッホ。そんな彼に、死後、多くのフォロアーが群がることになった事実は、私たちに「リーダーシップは、リーダーの死によっては失われない」という重要な視点を与えてくれます。

 最近話題の坂本龍馬などといった偉人の例を挙げるまでもなく、リーダーの価値観はなんらかのアウトプット(作品や物語)として残されることがあります。そうしたリーダーシップは、リーダーの死後も、時間と空間を超越して発揮されるのです。

 結局のところ、ある人物が偉大なリーダーかどうかは、現時点で多くのフォロアーがいるか、いないかということでは決められないのではないでしょうか。「そもそもリーダーというのは、他人がなんと言おうと"孤独"を受け入れて、常に自分の価値観どおりに行動しようとする人々だ」(酒井さん)。

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