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続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!

第22回 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』アンソニー・ルッソ監督インタビュー

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』アンソニー・ルッソ監督

その衝撃的すぎる内容で「#ThanosDemandsYourSilence」(サノスは沈黙を命ずる)などとマーベル・スタジオ直々にネタバレしないよう警告するなど、全方位で異例な事態となっている『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』。そのメガホンを『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に続いて握ったアンソニー・ルッソ監督にインタビュー。今や映画を飛び出して、世界中のディズニー・パークスに拡大展開している現状についても聞いた!


●群像劇の構築は難しいと思いますが、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の時も同じように思いましたが、全部のキャラクターが有機的に絡まっていますよね。

僕たちは兄弟監督として始めたキャリアで、映画デビュー作の『ウェルカム トゥ コリンウッド』やテレビの仕事を含め、特に意識したわけではないけれど、ずっと群像劇だった。散々撮ってきたけれど、ジャンルとして個人的にも大好きで、何度観ても新しい発見があるところがいいよね。違う見方ができる作品が好みだけれど、撮ることも好きだからね。

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●上手く撮るコツなどは?

コツについては、一本のストーリーだけれど複数の視点があるわけなので、今回で言うと脚本家チームと練り上げていく際に、まるで壁を重ね塗りしていくような作業をしたよ。まずひとりのキャラクターに絞って描いて、冒頭からエンドまで描いてしまう。そこでひとつの視点が決まり、次の視点に移る。そうして全員分を塗り重ねて、全員の視点をきれいに整理する。


●まるで作曲活動みたいですね。

いいたとえです。まさにその通りです。


●個々作品の監督もいるじゃないですか。たとえば『ブラックパンサー』が大ヒットしたので出番を増やしましょう的なこともありそうですよね?

今回の場合、『ブラックパンサー』とは同時進行の制作だったので、あれほどの社会現象になるとは思っていなかったよ(笑)。ただ、『ブラックパンサー』は僕たちが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で初めて紹介したキャラクターで、そういう意味では超重要で責任も感じている。だから今回、撮りながらライアン・クープラー監督とコンタクトを取り、いろいろと綿密に話し合いながら続けたよ。つまり、ヒットがどうのではなく、ストーリー展開上のことを重視するかな。


●僕はストレンジのファンなので、監督をしていたらいっぱい出しちゃうと思います。そこへの葛藤はないですか? もともとファンなわけですよね?

いい質問だね(笑)。
すごくその気持ちがわかるし、自分にも実際あるけれど、その門を開いてしまうと欲が止めどなく流れてきて、後戻りできなくなってしまう気がする。自制心が要るけれど、大切なこてはストーリー展開。どのストーリーをどういうカタチで伝えるかが一番大切で、常に考えなくてはいけない。なので脚本ができた時点で一定のリズムが生まれて、それをどうテンポよく進めるかを考えた時に、キャラクターはひとつのツールになるわけで、適材適所でなければならない。ただ、脚本ができた時点でほぼ決まってしまうけれどね。


●世界のディズニー・パークスに目を向けると、マーベルのテーマエリア建設や新しいアトラクションなど、すごいことになっていますが、そのことについて、どう思っていますか?

マーベル映画の作り手になったいまでも基本には心はいちファンのままなので、僕としては映画以外の方法でもMCUのキャラクターや世界観と触れあえる機会があるということはわくわくするね!


●『リメンバー・ミー』のリー・アンクリッチ監督は、「トイ・ストーリーランド」について質問がよくくると言われていましたが、マーベルエリアでも同じ現象ではないでしょうか。

そうですね。しょっちゅうきますよ。いま建築中のことをはじめ、温めているアトラクションについてどう思うか、デザインの意見を求められているところだよ。


●さて、その前に<次回作>ですよね!

撮影は終わったけれど、ポスプロに入っていないので、どういう感じになるか最終的なところはまだぜんぜんだよ。ただ、ひとつだけ言えることは今回の作品を観ないと、次の鑑賞はまったく成立しないと思う。だからまず観ましょう(笑)。

(取材・文:鴇田崇)


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<STORY>
6つすべてを手に入れると全宇宙の半分の生命を滅ぼせるというインフィニティ・ストーンを巡り、最凶最悪の敵<ラスボス>サノスと最強ヒーローチーム"アベンジャーズ"による規格外のスケールのバトルが繰り広げられる。強大な敵を前に、アベンジャーズたちは全滅の危機に陥るが、果たして彼らは人類を救えるのか?

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
大ヒット公開中! 
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C) Marvel Studios 2018

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鴇田崇(ときた・たかし)

1974年生。国内最大級のアクセスを誇る総合映画情報サイト「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在はフリー。年間延べ250人ほどの来日ゲスト、俳優、監督への取材を行い、雑談のような語り口で相手のホンネを引き出すスタイルは、一部の関係者に定評がある。史上もっともアガッたインタビューは、あのM・ナイト・シャマラン監督に「キミの体からは気が出ている!」とホメられたこと。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。

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