連載
続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!

第20回 映画『ブラックパンサー』:声優・津田健次郎さんインタビュー!

『ブラックパンサー』でエリック・キルモンガーの日本語吹替えを務めた津田健次郎さん

全世界興収9億ドル! 日本でも公開4日間で5億円を超え、それまで人気を集めていた『グレイテスト・ショーマン』を押さえ、見事週末興収ランキングで洋画ナンバーワンを獲得した『ブラックパンサー』。公開を記念して、主人公ティ・チャラの王位を狙う敵、エリック・キルモンガーの日本語吹替えを務めた人気声優の津田健次郎さんにインタビュー。「キルモンガー、グッときてくれるといいですね」って、メッセージもちょうだいしたぞ!


――今回の『ブラックパンサー』、映画を観た感想はいかがでしたか?
 
第一印象として、とても新しいスーパーヒーロー映画の誕生だなと思いました。物語の舞台がワカンダという王国で、主人公も王でありヒーローでもあるという特殊なキャラクターですが、その一方で今までのヒーロー映画の王道的なツボもしっかり押さえている、そういう印象でした。全力投球で社会を皮肉っているメッセージも、ストレートで痛快で面白かったですね。そしてそういう複雑なテーマを小難しく言わず、エンタメやアクション、CGで昇華していることも素晴らしいと思いました。


――演じられたエリック・キルモンガーは、激しいアクションもこなす戦士でしたね。
 
彼を含め、映画内では肉弾戦の面白さが出ていましたよね。武器を駆使して壮大にブッ放すという感じでなくて、野獣同士の戦いみたいな。野生の本能で原始的に戦うカッコよさがありました。そういう意味でも新鮮に楽しみました。彼を演じる上では細かい息遣いも拾っていかなくてはいけなかったので、動きを把握する作業は大変でしたが、アクションシーンも細かく音声付けさせていただいているので、注目してください。

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エリック・キルモンガー(左)とティ・チャラ(右)

――とても複雑なキャラクターですよね。演じる上では、どういうことに気をつけましたか?
 
特に前半のシーンですが、悪役ぜんとはしてはいるものの、突き抜けた感じにはしなかったですね。収録では、どこかゆらぎがほしいという方向性にもなっていて、僕自身もそう感じていました。とても内面が若いというか、完成しきってない。そこが面白いところでもありますが、そういうもろさが垣間見えてくる悪役という感じでしょうか。


――お気に入りのキルモンガーのシーンはありますか?
 
それは後半のほうですね。これは、演じている最中に徐々にわかってきたことなんですけど、彼の居場所や故郷というものがどこにあるのかという問題で、彼の中にアイデンティティーのような拠り所がたぶんないんですよね。そもそもない。アイデンティティーがない人間が暴走して殺人者になっていることで世界とつながっていて、その顛末がすごいなと。

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――ちなみに世界のディズニー・パークス、特に香港とカリフォルニアなどにはブラックパンサーが、映画の公開と同時にキャラクターとして出ています。会ってみたいですか?
 
パーク内に、ですか? それはキルモンガーとしては怖いですね(笑)。でも、一緒に写真を撮ってみたいです。獣感がある写真を撮りたいですね。一緒にジャンプとか、ガサーッて狩られたい。追いかけっこはしんどいので、ツーショットを撮りたいかな。このスーツの強さ、僕は知っていますから(笑)。いずれキルモンガーにも出てほしいですね。それは僕としてもうれしいことです。


――映画『ブラックパンサー』は、マーベル初心者にこそ観てほしい作品でもあるなと思いましたが、最後に映画を待っているファンにメッセージをお願いいたします!
 
そうですね。いろいろな予想をくつがえしてくる作品だと思います。想像以上に新しい印象で、人物造形も深いし、初心者でも楽しめますね。アクション系が得意じゃない女性でも、ハマれる要素があるような気がしました。キルモンガー、グッときてくれるといいですね(笑)。

(取材・文:鴇田崇)

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<STORY>
マーベル史上、もっとも謎を秘めた新キャラクター<ブラックパンサー>が登場! 超文明国の若き国王。そしてもうひとつの顔は、鋭い爪と漆黒の戦闘スーツに身をつつんだヒーロー。彼は、この国がもつ世界を揺るがす秘密を守る使命を背負っていた。この国の秘密が明らかになるとき、≪アベンジャーズ≫に最大の危機がおとずれる。

『ブラックパンサー』
公開中
公式サイト:http://marvel.disney.co.jp/movie/blackpanther
ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C) Marvel Studios 2018 MARVEL-JAPAN.JP/blackpanther

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鴇田崇(ときた・たかし)

1974年生。国内最大級のアクセスを誇る総合映画情報サイト「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在はフリー。年間延べ250人ほどの来日ゲスト、俳優、監督への取材を行い、雑談のような語り口で相手のホンネを引き出すスタイルは、一部の関係者に定評がある。史上もっともアガッたインタビューは、あのM・ナイト・シャマラン監督に「キミの体からは気が出ている!」とホメられたこと。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。

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