もやもやレビュー

2部作の後編だけで物語を理解しろという配給会社の無茶ぶり『サンタキラーズ』

サンタキラーズ(吹替版)
『サンタキラーズ(吹替版)』
ポール・タンター,サイモン・フィリップス,セイラ・デ・ゲーデ,ケイト・シュローダー,キーガン・チェンバーズ,バリー・ケネディ
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 本作は日本未上陸の作品の続編らしい。そのため登場人物の関係性が特に説明されることなく話が進んで行く。これは作品の問題ではないが、全く知らん話を前提に物語を進められても面白いと感じることは難しい。せめてB級映画の醍醐味であるグロでも鑑賞するかと気を取り直しても、肝心の見どころが描写されていなかったり血が安っぽいCGで描かれていたりで、「仮に前作を視聴した上で本作を見てもつまらないんだろうな」と思わせるものがある。一応、ジャンルはホラーなのにグロシーンをカットしたら何が残るのかと。あと、ヒロインがハーレイ・クインをモロパクリしているため胸の谷間を強調されても白けるだけだ。

 クリスマスが近いある日、本作の主人公ニコラスとミッシェルは精神病院に入院中、サンタクロースのコスチュームに着替え院内の30人以上を生きたまま焼き殺す。その後もニコラスはサンタ、ミッシェルはミセスクロースを名乗り病院関係者を次々と殺害。FBIに指名手配されるとミッシェルは囮となり逮捕されるが、ニコラスは保安官を殺害して逃亡。その途中で保安官の孫娘を見つけ――というあらすじ。

 冒頭の殺害シーンでは無差別のサイコパスにしか見えなかったが、当人たちは「良い子」は見逃し「悪い子」だけを殺害するという線引きがある。FBIが捜査を進めると、これまで殺害されたのは病院の運営会社の役員だけと判明。病院では患者の虐待に役員も加担していたことが明らかになる。そんな中、都合よくミッシェルがFBI職員を殺害して脱獄。良い子は殺さないという設定がいきなり破綻している。

 場面切り替わりニコラスは運営会社に乗り込み役員の首を斧で切り落としていく。ただし患者に優しく接していた女性役員だけは見逃される。
 ここまでは前作未見でも理解はできた。つまらないけど。しかし、終盤に来て突如ニコラスの娘ジェニファーと、病院運営会社の役員の父親を殺されたコートニーが銃を持って登場。誰だ君たちは。

 ニコラスが運営会社に乗り込むと予測し、会社に先回りしていたが現場に駆け付けたFBI職員に射殺されて即退場。前作を視聴していたらこのシーンにも何かしらの意味を感じられたのかも知れないが、何しろ国内未発表の作品は視聴できない。
 娘を殺されたことにショックを受けたのか、ニコラスは床に座り込み逮捕される。しかし次のシーンで留置場にいるニコラスを救い出すためにミッシェルが現れエンドロールへ。

 単なる殺人者のロードムービーならそういうものとして楽しめたのだが、前作の伏線回収をしたかったのか本作だけ視聴しては理解できない箇所が多数。それがノイズとなって作品への没入を妨げている感があった。そもそも、なぜ2部作の後編だけを配給しようと考えたのだろうか。それが一番の謎だ。

(文/畑中雄也)

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