もやもやレビュー

ミイラと人造人間がゆるゆると殴り合う『マミーVSフランケンシュタイン』

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 B級映画なんて1分が1時間にも感じられる退屈を楽しむところがあるけども、上映時間115分という数字を見て悪い予感はしていた。絶対に途中で飽きて数分に1回はスマホをいじり出すと。
 果たしてその通りの結果になったのだが別に物語の本筋がつまらない訳ではなかった。むしろ面白い部類に入るのではないかと思われる。

 大学に勤める医学博士のヴィクターは大学に内緒で死体蘇生の研究を進めていた。一方、ヴィクターの友人であるエジプト考古学者のナイラは王のミイラを発見し大学の研究室へと運びこんでいた。
 深夜、研究室でミイラに封じられていた王の魂が復活。ナイラの上司が助手や学生を殺害し生贄を捧げると不完全ながらミイラが意思をもって動き出した。
 その頃ヴィクターは死体蘇生のために死体の脳を取り寄せた清掃員から脅され、そのまま殺害。殺害時に脳が壊れたため清掃員の脳を取り出して死体蘇生を成功させた――という内容。

 タイトル通りミイラと人造人間が戦うのだが、ともに人外のくせに終始肉弾戦だ。現代科学で生き返った死体はともかく、ミイラは古代の呪いなどさまざまな前振りがあったのにその設定が生きることはない。おまけに双方完全復活ではない設定だから動きもだらだらとして鈍いことこの上ない。怪物同士の戦いなのにどちらも腕力で倒されるし。

 とはいえ、怪物が行動する理由に違和感はなかったし話はスムーズに入ってくる。むしろ丁寧に怪物たちを描写することで物語が破綻していない、B級映画なのに。もっとも人間、特にヴィクターが一番頭のおかしい動きをしているくらいだ。

 ただ、イカれた人間しか出てこないのにそいつらの描写まで無駄に丁寧である故、話がもたついている。殺害した相手の脳みそをサクッと実験に使うようなサイコパスを細かく描かれても......という感はある。ちゃんと編集したらストレスなく視聴できただろうにと思うと非常にもったいない作品だった。

(文/畑中雄也)

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