『風俗行ったら人生変わったwww』を実践したらビョーキもらったwww

　北方健三の『試みの地平線』と言えば女性に対して悩む少年に「小僧、ソープへ行け！」と無茶を言う名台詞が有名だが、実際には数回しか書いていないという。まぁ、ソープに行って何か変わるほど世間は甘くないし、仮に悩みが解決したら世の中には素人童貞がいなくなってしまう。

　残念ながら性風俗で人生が変わるほど人生はイージーモードではない。筆者の先輩には風俗行ったら睾丸に病原菌が入って子供のできない体になってしまうという人生の変わり方はあったけど。悲しいが、そんな人生の変わり方くらいしか世の中にはない。

　そんな現実を思い返しながら、原稿を書くためにこの映画を3回視聴したのだが、どんなに頑張っても「佐々木希が演じるかよ可愛い」しか感想がない。元々2ちゃんねる発生のスレッドを映画化したものなので内容を求めることは酷だと承知だが、あまりにご都合主義すぎる。もっとも、風俗嬢のリアルを描いたら陰惨な話になってしまうので、これくらいゆるい内容が良いのかも知れない。内容はともかく。内容はともかく。大切なので2度言いました。

　一応、あらすじは29歳の童貞ダメ人間が一念発起してデリヘル嬢を呼んだら借金漬けの佐々木希が来て、皆の力を借りて彼女を救い出すというもの。説明2行で終わったよ。話が薄すぎるだろう、いくら何でも。大体、借金絡みで風俗嬢をやっている女は滅多にいない。かつて雑誌の取材で風俗嬢１００人くらいにインタビューしたところ、彼女らの主な就業理由は「時間にルーズ過ぎて一般の仕事ができないから」がトップだった。モデル級の美女で働いている女性も何人かいたが、手首にカッターなどでアディダスマークをつけていたり、精神科のお世話になり過ぎておクスリで脳が大変なことになっていたりするケースだった。映画に出てくる佐々木希はいないのですね、やはり......。

　万が一にもあり得ないが、仮にデリヘル嬢を呼んでオツムがマトモな佐々木希クラスが来たら消費者金融を全社制覇するでしょ、そりゃ。違う方向で人生変わるわ。まぁ、安心なことに現実の性風俗に佐々木希はいないので消費者金融王になる心配は皆無なのだけど。

　うっかりこの映画に感化されてデリヘルを呼んだ奇特な人間はそういないと思うけど、実際に召喚して現れるのは佐々木希どころか全裸になるまで性別が不明な方々が多いので十二分に気を付けてほしい。筆者は大失敗しました。泣きたいです。

（文／畑中雄也）