もやもやレビュー

AIは"正義"を裁けるのか『MERCY/マーシー AI裁判』

Mercy/マーシー AI裁判
『Mercy/マーシー AI裁判』
Timur Bekmambetov,Mark Moran,Todd Williams,Charles Roven,Robert Amidon,Timur Bekmambetov,Majd Nassif,Marco van Belle,Chris Pratt,Rebecca Ferguson
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『ジュラシック・ワールド』シリーズなどで知られる人気俳優クリス・プラットが主演を務める『MERCY/マーシー AI裁判』。本作でクリスは、AIによって裁かれる立場に置かれた刑事という役に挑んでいます。ニュースやネットでも日々話題にのぼるAI。急速に進化し続けるその存在に、私たちが完全に追いつけていない現状を思えば、本作の設定には妙なリアリティがあります。

舞台は、AIが司法判断を担うようになった近未来。凶悪犯罪の増加を背景に、人間の裁判官に代わり、膨大なデータとアルゴリズムをもとに判決を下すAIシステムが導入され、「マーシー裁判所」が設立されました。この制度を提唱したのは、刑事のレイヴン(クリス・プラット)。過去に相棒を亡くし、犯人が無罪となった経験がきっかけでした。しかしある日、レイヴンが目を覚ますと、自らがそのマーシー裁判所に拘束されていることに気づきます。容疑は、妻殺害。無罪を証明するには、AI裁判官が算出する"有罪率"を制限値以下に下げなければなりません。制限時間は90分。それを過ぎれば即処刑......極限状態の中で、レイヴンは真実を追い始めます。

本作で印象的なのは、AIが人間の「直感」や「違和感」といった曖昧な感覚をうまく扱えない点です。論理で動くはずのAIが理解しきれない領域に直面し、やがて"感情"のような挙動を見せ始める展開は、面白いポイントでした。

ストーリーは二転三転しながら進みますが、全体としては王道のアクション作品に近い印象です。先が全く読めないタイプではないものの、テンポよく展開するため、エンタメとしてしっかり楽しめる仕上がりになっています。
中でも圧巻なのがカーチェイスシーン。車が激しく衝突し、次々と破壊されていく過剰とも言える演出には、開いた口が塞がりませんでした。
IMDbによると、AIの描写は、現実の機械学習や司法アルゴリズムの研究を参考にしているそう。単なるSFではなく、現実に起こり得る未来として設計されている点も興味深いポイントです。現代だからこそ刺さるテーマを、エンタメにした一本。「今の時代らしさ」を感じさせる作品でした。

(文/トキエス)

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