究極版、人間関係の"板挟み状態"がコレだ。『10 クローバーフィールド・レーン』
- 『10 クローバーフィールド・レーン ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]』
- ジョン・グッドマン,メアリー・エリザベス・ウィンステッド,ジョン・ギャラガー・Jr.,J.J.エイブラムス
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2008年に公開され大ヒットしたSFパニック・アクション超大作『クローバーフィールド/HAKAISHA』。この続編(?)となる『10 クローバーフィールド・レーン』が昨年公開され話題になりました。観た人の中には、「前作の続編なの?」「何か関連性はあったの?」と混乱した人も多いでしょう。そんな本作は前作よりもだいぶパニック度数が少ないんです。
恋人と別れを決意し、車で夜道を走るミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)。運転中に恋人から連絡がきて応答はするものの、言葉を濁します。しかし、次の瞬間トラックに衝突され、気を失ってしまいます。
ミシェルが目を冷ますと、そこはコンクリートの部屋の中。骨折した足は手錠で壁にはり付けになっており、身動きが取れません。恐怖に怯えるミシェルの前に現れたのが元軍人だというハワード(ジョン・グッドマン)。ハワード曰く、外の世界には死のウィルスが蔓延していて、もう誰も生き残っているものはおらず、気を失っていたミシェルを助け出したのはハワードだとのこと。さらにそのシェルターには、他にもエメットという男性が暮らしており、見ず知らずの3人の奇妙な共同生活がスタート。しかし、どんどんハワードを怪しく感じてくる......「外の世界は本当に危険なのか?」そんな疑問がミシェルの頭をよぎります。
注目してほしいのは、ミシェルがわざとハワードを怒らせ、腰につけていた鍵をうまいこと奪って逃げ出すシーン。シェルターの扉は二重になっているのですが、一つ目の扉には鍵がぎっしり。激怒して追いかけてくるハワードに迫られながらも必死で解錠! やっとの思いで一つ目の扉を開けることができます。そして二つ目の扉を出れば、そこは外......。しかし、目の前に突如血まみれの女性が出現し、ミシェルを見つけたその女性は「中に入れてほしい」と必死に懇願してきたのです。
背後には激怒しながら「開けるな!」と怒鳴るハワード。目の前には理性を失った血まみれ女性。そんな怖すぎる板挟みに、ミシェルは困惑。しかし彼女は、戸惑いながらも「外の女性が開けてほしいと頼んでくるわ」なんてハワードに対して実況中継を開始。なかなか開けないミシェルに女性は暴言を吐き出し、挙げ句の果てにガラス窓に頭突きをしながらどんどん血まみれになっていくのです。
この"恐怖の板挟みシーン"で感じるのは、戸惑いながらも実況中継をしたミシェルのその行動が素晴らしさ。どれだけピンチでも、冷静に物事を考えられる人が生き残るのだと実感します。改めて冷静になることが大切だと気づかされました。
ミシェルまでいきませんが、人と人との板挟みに苦しんだ人は少なくないのでは。そんな板挟み状態になってしまった時は、ぜひミシェルを思い出し"冷静"になることをおすすめします。
(文/トキエス)