重たい腰を上げて、さあ自炊だ。『スーパーサイズ・ミー』

　突然ですが、自炊してますか？　一人暮らしだったりすると、自炊するよりもファーストフードの方が安上がりだったりして、ついつい今日も......なんて人も珍しくなさそうです。そんな人は、まさにアメリカっぽい無茶な実験を記録したドキュメンタリー映画『スーパーサイズ・ミー』（2004）を観てみてください。今日はスーパー行ってみようかな......と、思うに違いありません。

　本作は2003年にアメリカで制作されたドキュメンタリー映画。33歳、いたって健康なモーガン・スパーロックが、30日間、世界最大のファストフードチェーンであるマクドナルドのメニューだけを食べて過ごすというチャレンジを記録したもの。しかもこの実験には4つのルールが。アメリカでは「スーパーサイズ」というラージサイズを超えたサイズに変更することが可能なのですが、もしメニューをオーダーした際、店員さんに「スーパーサイズにしますか？」と聞かれたらイエスと答えなければいけない。マクドナルドで買えないものは口にしない。いろんな種類を食べるようにする。そして、一日二千歩以上歩かないという運動にも制限をかけます。とっても不健康に思えるこの実験は、彼の身体に一体どんな影響を及ぼすのでしょうか。

　実験中も吐き気に襲われたり、気持ちが落ち込んだり、性欲が減ったり......と、さまざまな影響を自分の身体を使って証明したモーガン。スーパーサイズのコーラにはどれくらいの砂糖が含まれているのか、チキンナゲットがどうやって作られているのかなど、知りたくなかった事実が次々と判明していきます。ちなみに映画が公開された2004年、アメリカのマクドナルドではスーパーサイズが廃止されたそうです。マクドナルドのこのスピード感は、素敵です。

　コンビニもファーストフードも24時間営業の便利な世の中。そんななかで、わざわざお金も時間もかかる自炊なんて面倒なことをするには、それなりの理由が必要です。その「理由」を作ってくれるのが、まさにこの映画なのです。
　
（文／トキエス）