もやもやレビュー

老後をシミュレーションするきっかけに。『マリーゴールドホテルで会いましょう』

マリーゴールド・ホテルで会いましょう [DVD]
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう [DVD]』
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> LawsonHMV

 誰にでもいつかはやって来る老後。ですが、目の前のことでいっぱいいっぱいな今、その時を想像する機会はなかなかありません。本作は、登場人物それぞれの事情や会話などから自分の遠い未来をシミュレーションするきっかけを与えてくれます。

 『マリーゴールドホテルで会いましょう』は、老後をインドの高級リゾートホテルで優雅に過ごそうとしたイギリス人男女7人の物語。

 メンバーはというと。
 長年連れ添った夫を亡くし、夫の遺した多額の借金を返済するために家を売り、息子の同居の誘いを断ってインドへやって来たイヴリン(ジュディ・デンチ)。
 老後を夫婦で暮らすための家をイギリス国内で買うつもりが、退職金を出資した娘の事業が失敗し、予算の都合上やむなくやって来たエインズリー夫妻。
 イギリスでは半年も待たされる人工股関節置換手術をすぐに受けると聞いて、嫌々やって来たドリー(マギー・スミス)。
 高等法院の判事を突然辞め、18年間過ごしたインドへ同性の元恋人に会いに行くことにした、グレアム(トム・ウィルキンソン)。
 最後のロマンスを求めてやって来た、マッジ(セリア・イムリー)やノーマン(ロナルド・ピックアップ)。

 多種多様な目的で様々な面々がやって来ます。しかし、蓋を開けてみれば、オンボロホテルの、全く文化も異なる慣れない国での暮らしでした。

 その環境は思っていたものと全く違っていたけれど、異性との交流で好意を持つ者、慣れない仕事を始める者、それらとは対照的に悲観的な者...などそれぞれの捉え方、過ごし方も十人十色です。

 老後にまで後悔を持ち込むのは心苦しい。年老いてまでせかせか働きたくはない。死ぬまでマイナス思考で生きるのもツライ。彼らの半生はまさに反面教師。自らの老後をリアルに想像させてくれます。
 とりあえず、どのくらいもらえるかどうかはわからないけど、前提として年金は払っておきましょうか。話はそれからか。

(文/森山梓)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム