「芸は身を助く」は本当だと思った。『僕達急行A列車で行こう』
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- 松山ケンイチ,瑛太,貫地谷しほり,森田芳光
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少し前になりますが、缶酎ハイ・氷結のCMで、さかなクンが東京スカパラダイスオーケストラに混じってサックスを吹く映像が話題になりました。さかなクンのポテンシャルの高さハンパないです。
2011年に急逝した森田芳光監督の遺作となった本作。主人公は、丸の内の大手不動産会社「のぞみ地所」に勤務する小町圭(松山ケンイチ)。大手企業のイケメンで優しくモテるのですが、無類の鉄道好きです。一見残念にも思われがちな趣味ですが、そのおかげで彼にはたくさんの恩恵がありました。
①共通の趣味を介して、児玉健太(瑛太)という親友ができる。
小町の住むマンションが工事のため立ち退きを必要とした際には、コダマ鉄工所の跡取りである児玉の所へしばらく住まわせてもらいます。
②左遷だって嬉しい!
左遷で福岡支社への勤務を命じられた時も、凹むことなく、九州の鉄道に乗れると喜びます。鉄道の趣味のおかげで、仕事だけが生きがいではない違う視点を持つことができます。
③趣味つながりで仕事にも好影響!
転勤先の九州鉄道の旅では、鉄道の話題で意気投合した男性・筑後(ピエール瀧)と出会います。彼は、実は仕事の取引先で苦戦をしいられていた大手食品企業「ソニックフーズ」の社長でした。仕事においても、鉄道趣味のおかげで、ソニックフーズの新工場誘致の話を成功させることができたのです。
冒頭のさかなクンの話に戻りますが、魚好きが高じて、中学の頃に水槽学部と勘違いしたことがきっかけで吹奏楽部に入ったとか。それが、今回このような形となって日の目を見ることになるとは。
趣味や好きなものが高じて思いがけないところで実を結ぶことになったら嬉しいことです。オタクやヲタなどと言われたり、一見面白おかしくも見られがちですが、一つのことに詳しかったり夢中でいられることは、とても尊いことなんですね。見習いたいと思います!
(文/森山梓)