第31回東京国際映画祭アウォード・セレモニー
10月25日より東京・六本木を中心に開催されていた東京国際映画祭もついに閉幕。11月2日にはアウォード・セレモニーが開催され、数々の賞が発表されました。
東京ジェムストーン賞:未来を担う注目若手俳優たち!
最初に発表されたのは、東京ジェムストーン賞。宝石の原石(=ジェムストーン)の様に輝く若手俳優を見出し、世界に向けて発信することを目的として昨年新設された賞です。ちなみに、今年の映画祭アンバサダーを務めた松岡茉優さんも去年この賞を受賞しました。
今年は『鈴木家の嘘』(日本スプラッシュ)と『菊とギロチン』(Japan Now)に出演した木竜麻生さん、『ソン・ランの響き』(アジアの未来)に出演したリエン・ビン・ファットさん、『蛍はいなくなった』(TIFFティーンズ)カレル・トレンブレイさん、そして『銃』(日本映画スプラッシュ)の村上虹郎さんが受賞。今回がTIFFに初参加だったという木竜麻生さんは「作品に関わった皆さんにいただけた賞だと思っています。これからも努力を惜しまずに精進してまいります」と感謝の意を表しました。
日本スプラッシュ部門:日本の海外進出を応援!
日本の個性が強いインディペンデント映画が選出された日本映画スプラッシュ部門。今年は2人の監督に監督賞が授与されました。1人目は『銃』の武正晴監督。「作品を一緒に作ったスタッフ、キャストに与えられた賞だと思って、代表してこの賞をいただきたいと思っております」とコメント。続いて2人目は『メランコリック』の田中征爾監督が受賞。この映画が出来上がったのは、なんとTIFFの応募締め切りの朝だったのだとか。「協力してくださったキャストのみなさま、スタッフさん、本作を見てくださったみなさま、今後未来、運良く上映されて見てくださる未来のみなさまに感謝の気持ちを申し上げたいと思います」(田中監督)。
作品賞は『鈴木家の嘘』が受賞。記憶喪失の母に嘘を付きながらも、悲しみと悔しみを抱えながら再生しようとする家族を描いた作品で、複雑なシチュエーションに喜劇と悲劇をうまく取り入れて表現したことから高い評価を獲得しました。
アジアの未来部門:アジア圏のこれからの映画界をリードする作品
アジアの新鋭監督の作品をいち早く上映する、アジアの未来部門。国際交流基金アジアセンター 特別賞は『武術の孤児』のホアン・ホアンさんが受賞。ホアンさんは「今回のことは素晴らしい思い出になることと思います」と感激した様子。そして作品賞はムスリムの少年が経験する最初の別れを描いた『はじめての別れ』が受賞しました。
コンペティション部門:109の国と地域から1829もの作品がエントリー
2018年1月以降に完成した長編映画を対象に、厳正な予備審査を経た16本の作品の中から各賞が発表。今年なんと109の国と地域から1829もの作品がエントリー。厳しい審査の末、選ばれた各賞をご紹介していきます。
観客賞を受賞したのは稲垣吾郎さん主演の『半世界』。最優秀芸術貢献賞に、世界を熱狂させる男性バレエ・ダンサーを描いた『ホワイト・クロウ(原題)』、そして最優秀男優賞は『氷の季節』のイェスパー・クリステンセンさんが受賞しました。
会場を驚かせたのは最優秀女優賞、最優秀監督賞を受賞したイタリア映画『堕ちた希望』。女優賞はピーナ・トゥルコさん、そして監督賞はエドアルド・デ・アンジェリスさん。共に本作を生み出し、実生活では夫婦の二人がそれぞれ最優秀賞を受賞。会場からは盛大な拍手が送られました。残念ながらピーナさんは欠席でしたが、エドアルドさんは笑顔で「ピーナがいたおかげで、素晴らしい宝物を発掘することが出来ました」とコメント。
審査委員特別賞は『氷の季節』が受賞。マイケル・ノアー監督は今回欠席のイェスパー・クリステンセンさん(主演)に対し「もし彼がここにいたら、彼の演技に対して御礼を言いたいです。それと同時にこの作品は私の父をモデルにしていると彼に一度も言ったことがないので、それを伝えたいと思います」と思いを語ってくれました。
そして最優秀脚本賞 Presented by WOWOWとTIFFの最高賞である東京グランプリの二冠に輝いたのはフランス映画の『アマンダ(原題)』。本作は、便利屋の青年がテロで姉を失い、残された姪のの養育者となる姿を描いた感動と再生の物語。審査員長のブリランテ・メンドーサ監督は「単純に見えるものの、単純な作品ではなく私達の心をひきつけ、複雑な人間の感情を映画として経験させてくれました」とコメント。残念ながらミカエル・アース監督は欠席していたものの、「非常に幸せです」とビデオにて喜びのメッセージを届けてくれました。
東京国際映画祭は、3日に各部門受賞作品とクロージング作品を上映し、閉幕。
(取材・写真・文/トキエス)