イベントに登壇したリリー・フランキーさんと城桧吏くん
『そして父になる』など、数々の名作を生み出してきた是枝裕和監督。彼の作品史上最大のヒットとなった『万引き家族』はもうご覧になりましたか? 第71回カンヌ国際映画祭にて最高賞のパルムドール賞を受賞し、現在も『万引き家族』旋風が巻き起こっています。そんな世界各地を感動に包んだあの父子が、日本公開から5週間経った今、Q&Aイベントで再会! 今回は都内で行われたイベントの模様をレポートします!
2人が印象的だったのは釣りのシーン
まず、一番印象に残っているシーンについて聞かれたリリーさんは、祥太と釣りに行くシーンと回答。「久しぶりに会ってすごく照れ臭かった。祥太はすごく頭が良くなって帰ってきてて」(リリーさん)。また、安藤サクラさん演じた信代の「わたしたちじゃだめなんだよ」というセリフを、祥太の成長を通して教えてもらったと語りました。一方、祥太を演じた城桧吏くんも、同じく魚釣りのシーン、そしてリリーさんとのバスのシーンが印象的だったそうです。
そんな2人のお気に入りの釣りのシーン、是枝監督は桧吏くんに台本をその場で渡していたそうです。「その場で伝えられた台詞なのに、自分が本当に本で読んだことのように俺に教えてくれて、すごいと思った」とリリーさんは桧吏くんの演技を大絶賛。
映画のタイトルは『万引き家族』じゃなかった?
本作では、登場人物が観客にわからないほどの小さな声で呟くシーンが所々あり、カンヌ映画祭ではその小さな呟きも字幕で表示されていたのだとか。そのため、より感動しやすかったそうです。しかしながら是枝監督は、その呟きを音にしたくなかったそう。
「もともとこの映画のタイトルは『万引き家族』ではなく、『声を出して呼んで』というタイトルだった」と、リリーさん。「みんなが声に出さずに大切なことを言う」という意味が込められていると明かしてくれました。
「父になっちゃいけない」
そして観客からリリーさんに対し「信代は母親らしい部分が垣間見えたが、治の父になった瞬間はあったのか」という質問がありました。リリーさんは「治はこの映画の中で、一回もちゃんと父親になれてないです」と回答。
リリーさんは是枝監督から、「最後までダメな父親でいてください」と言われていたそうです。「父になっちゃいけない。その代わり、治がすごくダメな人間だから、祥太がどんどん成長していく。木偶の坊の父でいることで、祥太が「あれおかしいんじゃないの」と気づきだすんです」(リリーさん)
ずっと一緒にいたような気がしたのは是枝監督の魔法
最後に、今だから言える本音を聞かれたリリーさんと桧吏くん。リリーさんは「やりやすかったです」とコメント。撮影の半年くらい前に顔合わせをし、そこで全員の家族写真を撮影。そしてその写真をずっと携帯電話の待ち受けにしていたというリリーさん。
また、クランクインして一番最初に撮影したのは、家族全員で和気あいあいと海水浴をするシーンだったそう。リリーさんは「一番最初に撮影して全然違和感がなかったのは、是枝監督の魔法だと思う」とずっと一緒にいたような感覚があったと当時の心境を明かしてくれました。
そんな本作は、リリーさん演じる治と、桧吏くん演じる祥太が息のあった連携プレーで万引きをするシーンからスタート。足りない生活費を万引きで稼ぐニセモノ家族の絆。人と人のつながりを考えさせられる本作をぜひ鑑賞してみてはいかがでしょう。
映画『万引き家族』は絶賛公開中です!
(取材・写真・文/トキエス)
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『万引き家族』
絶賛公開中
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
音楽:細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏 ほか
配給:ギャガ
(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
公式HP:gaga.ne.jp/manbiki-kazoku
公式twitter:https://twitter.com/manbikikazoku
公式 facebook:https://www.facebook.com/manbikikazoku/
<STORY>
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、
治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。
彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。
足りない生活費は、万引きで稼いでいた。
社会という海の底を這うような家族だが、
なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。
冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。
体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。
だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、
それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。