プランター栽培にふさわしいのはどんな土?

プランターで野菜を育てるには、どのような土が向いているのでしょうか。畑とプランターとの環境の違いから、東京農業大学名誉教授の後藤 逸男(ごとう・いつお)さんに解説していただきました。

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■畑とプランターでは水の動き方が異なる

畑でもプランターでも、野菜が元気に育つ土の条件は、基本的には変わりません。水はけと水もちがよいことに加え、肥料もちがよく、さらには、多種多様な微生物がすんでいるのがよい土です。しかし、畑とプランターとでは環境が異なるので、土の中の水の動き方にも違いがあります。
畑の土は、大地とつながっています。雨などによってもたらされた水は土に浸透し、下層に蓄えられます。表層の土が乾いてくると、この水が上昇して土を潤すため、すぐに土が乾くことはありません。
一方、プランターの土は、大地とつながっていません。そのため、下層に水が蓄えられることはなく、水は鉢底穴から流れ出ます。土の量が限られているため、乾きやすい特徴もあります。こうしたことから、プランター用の土には、畑の土よりもシビアな条件が求められます。

■プランター用の土に求められるもの

水もちのよい土がプランターに向いていると思うかもしれません。もちろん、水もちのよさは大切です。しかし、プランターでは、限られた空間に根がぎっしりと張るため、根が酸欠状態になりやすく、畑以上に通気性のよさが求められます。新鮮な空気は、土の間を水が抜けたあとに入ってくるので、「水はけのよい土=通気性のよい土」ということになります。
また、プランターでは、頻繁な水やりが不可欠です。肥料分が水と一緒にプランターの外に流れ出てしまうので、肥料もちのよい土であることも重要です。

■畑の土を使ってもよい

プランターなどの容器栽培用にさまざまな培養土が市販されていますが、野菜を育てるのなら、畑の土も利用できます。もちろん、野菜がうまく育っている土であることが条件です。畑の土は、野菜が育ちやすいように、長年にわたり手を加えてきたもので、多様な微生物もすんでいます。作られたばかりの培養土より、よい土ともいえます。
とはいえ、プランター用の土には、畑の土よりも、水はけも肥料もちもよいことが求められます。肥料もちを改善し、水はけをよくする効果がある粒状のゼオライトを土に混ぜ、肥料を吸着する力が強い鹿沼土(かぬまつち/大粒)を鉢底石代わりに使うとよいでしょう。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2017年11月号より

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