豆腐をすってふわふわ煮に……『豆腐百珍』を現代風にアレンジ

奥村流「ふわふわ豆腐」は、トマトのほのかな酸味と焼きのりの香ばしさが、まろやかな味を引き締めます。しっかり水きりをした豆腐と卵をよくすっておくと、食感が均一になり、味のなじみも抜群に。ご飯にかけても。
江戸時代のベストセラー料理本『豆腐百珍』。すり鉢でなめらかにすって煮る「ふわふわ豆腐」を、伝承料理研究家の奥村彪生(おくむら・あやお)さんが、現代風にアレンジしました。

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■『豆腐百珍』原本にみる「ふはふは豆腐」

鶏卵(たまご)ととうふ等分にまぜ、
よくすり合せ、
ふはふは烹(に)にする也。 
胡椒(こせう)の末(こ)ふる。 
鶏卵のふはふはと
風味かわることなし。
倹約を行ふ人専ら用(もち)ゆべし。
現代語訳 ◎ 同量の卵と豆腐を混ぜてよくすり合わせ、ふわふわ煮にする。こしょうをふる。卵だけのふわふわ煮と風味は変わらない。倹約するならこれを作るとよい。



■「豆腐をする」ということ

かつて、すり鉢は日本で重要な調理道具の一つでした。平安時代後期に中国から伝来したとされ、江戸時代には家庭の台所に欠かせないものに。『豆腐百珍』にも豆腐を「する」料理が多数登場しています。
豆腐は「する」と食感が変わるだけでなく、大豆の脂肪が分解されて味が濃厚になります。白あえがおいしいのは、そのためです。また、豆腐を卵や山芋と合わせてすることで、さらに食感に変化が生まれます。
ここでは、豆腐をぜいたく品の卵のかさましに使った倹約料理でもあると記されている「ふはふは豆腐」(上記参照)、小型えびのえびじゃこと豆腐をすり混ぜて炒る「苗鰕菽乳(えびとうふ)」、長芋と豆腐をすり混ぜて煮る「ハンペン豆腐」を現代風に。フードプロセッサーかミキサーを使っていますが、すり鉢があれば、ぜひすり鉢で。よりふんわりとした食感が楽しめます。
※紹介した料理のつくり方はテキストに掲載しています。
撮影:三村健二
■『NHKまる得マガジン 江戸グルメ本に学べ! ヘルシー豆腐活用術』より

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