塩こうじ・甘酒が体にいい理由とは

こうじからつくられる発酵食品は、おいしくて非常に健康効果が高い“魔法の食品”です。撮影:安井真喜子
調味料として人気の塩こうじと、“飲む点滴”ともいわれる元祖栄養ドリンク・甘酒。順天堂大学医学部教授の小林弘幸(こばやし・ひろゆき)さんと、クリニック院長の小林暁子(こばやし・あきこ)さんに、この2つが体によいといわれている理由を教えてもらいました。

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■素早くエネルギーになり免疫力もアップ

塩こうじ、甘酒は米こうじを利用してつくられる食品です。米こうじは酵素を大量につくり出し、米のでんぷんやたんぱく質を分解し、甘みやうまみを生み出します。それだけではありません。塩こうじや甘酒は、米の栄養素が吸収されやすいように分解されているうえに、エネルギー代謝を助けるビタミンB群なども含んでいるため、素早く、効率よくエネルギーになります。
「疲れているときや運動後は、免疫力が低下しているため、甘酒を飲んだり、塩こうじを使った料理を食べたりするのがおすすめです。疲労回復やかぜ予防に役立ちます」(小林暁子先生)
また、甘酒には、食物繊維や食物繊維に似た働きをするレジスタントプロテイ
ンが豊富です。さらに、腸内細菌の餌になるオリゴ糖も含まれているため、腸内環境をよくする働きが期待できます。

■腸には免疫細胞が集中 免疫機能の7割を担う

「腸内環境が悪いと、免疫力が低下します。これは、腸には免疫システムの中心的な役割を担っている免疫担当細胞が集中していて正常に働かなくなるからです」(小林弘幸先生)
そもそも腸は、食物を消化吸収したり、便を排せつするだけでなく、悪いものから体を守る免疫機能を持っています。それは、食べ物を精査しないと危険な細菌まで取り込んでしまう危険性があるからです。腸は吸収すべきものか、異物として排除すべきものかを判断しているのです。これが腸が“第2の脳”と呼ばれるゆえんです。
「交感神経の働きが活発になると白血球の一種の顆粒(かりゅう)球が増え、副交感神経の働きが活発になるとリンパ球が増えます。どちらも細菌やウイルスなどの外敵の侵入から身を守るものですが、バランスが崩れると免疫機能が低下して、感染症にかかりやすくなってしまいます。2つの自律神経のレベルが高いときが、免疫力が高い状態といえます」(小林弘幸先生)

■女性にうれしい美肌効果もいっぱい

「こうじ菌が生み出すビタミンB群は、皮膚の代謝を助けます。また、こうじに含まれるこうじ酸には、シミの原因になるメラニン色素の過剰な生成を抑制する働きがあります」(小林暁子先生)
つまり、甘酒や塩こうじは、健康効果だけでなく美容効果も期待できる女性にうれしい食品です。健康と美容のために毎日取り入れてみてはいかがでしょうか。
■『NHK趣味どきっ! きょうから発酵ライフ 〜体の真ん中から健・幸・美〜』より

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