ヨーグルトが体にいいのはなぜ?

「ヨーグルトにドライフルーツを漬けるのもおすすめ。食物繊維が豊富なスイーツになります」(小林暁子先生)撮影:安井真喜子
牛乳に乳酸菌を加えて発酵させるとできるヨーグルト。ヨーグルトが体にいいのはなぜなのでしょう。順天堂大学医学部教授の小林弘幸(こばやし・ひろゆき)さんと、クリニック院長の小林暁子(こばやし・あきこ)さんにうかがいました。

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■ヨーグルトは食べ続ければよい腸内環境を保てる

腸内にはたくさんの細菌がいて、善玉菌、悪玉菌、日和見菌が勢力争いをしている……と聞いたことがある人は多いでしょう。
「ヨーグルトを食べると、その菌が腸に住み着いて、善玉菌が優勢になると思っている人が多いですが、実は、ほとんどの菌は腸に住み着くわけではありません」(小林弘幸先生)
腸内細菌のバランスは5歳ごろまでに決まってしまい、その後違う菌が入ってきても定着しにくいようです。
「ヨーグルトの菌は善玉菌の代表のビフィズス菌を増やしますが、あくまでも“転校生”。もともと住んでいた菌たちに刺激を与えて活性化させ、去っていく存在です。ヨーグルトの効果は、菌が生きていても死んでいてもあまり変わりません。これは菌が腸で増殖して、体にいい成分を出しているからというわけではないということです。さらにヨーグルトの菌は、ほとんどが腸まで届く前に死滅しています。効果を示しているのは、ヨーグルトの発酵過程で菌が産生した乳酸、酢酸、酪酸などや菌体成分だと考えられます」(小林弘幸先生)
つまり、ヨーグルトは“食べ続ければ”善玉菌を元気に働かせることができる、というわけ。

■腸の働きをよくして副交感神経を上げる

腸内環境がよくなると、便秘が改善するだけではありません。
「腸内環境がいいと消化吸収がよくなり、質のいい血液が体のすみずみまで巡ります。この状態が“健康”。反対に、腸内環境が悪いと、腸から毒素が体内に入り、体はすべてが悪くなる負のスパイラルに陥ります」(小林弘幸先生)
血流や代謝、呼吸、体温調節などをコントロールしているのは自律神経です。
自律神経には体を緊張させる交感神経と、体を弛緩かんさせる副交感神経がありますが、「腸の動きをよくするのも副交感神経。腸を動かし、腸内環境を改善するには、副交感神経の働きを高めることが大切です」(小林弘幸先生)
現代社会は情報があふれ、あらゆる面でスピーディー。一日中パソコンとにらめっこしている人や、スマホをチェックしている人は少なくありません。気が休まる時間がないと、交感神経のレベルばかりが上がってしまいます。
一方、副交感神経の働きは、加齢とともに低下します。「男性は30歳前後、女性は40歳前後でガクンと落ちます。体力や気力の衰えは、副交感神経の衰えといっても過言ではありません。副交感神経のレベルを意識的に上げ、交感神経、副交感神経がともに高いレベルになると、集中力、判断力、瞬発力などがアップします」(小林弘幸先生)
このほか、ヨーグルトには過剰なアレルギー反応を抑制したり、血圧やコレステロール値の上昇の抑制、感染症予防、疲労回復効果、ストレスを緩和する効果などが期待されています。
■『NHK趣味どきっ! きょうから発酵ライフ 〜体の真ん中から健・幸・美〜』より

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