多肉ファン注目のコーデックス

アデニア・グラウカの10年生株。撮影:田中和弘
しゃれた雑貨店や100円ショップでも日常的に目にするようになった多肉植物。一風変わったその姿には同じ種類でも多彩なバリエーションがあり、いろいろとコレクションする楽しみもある。より珍奇な多肉植物を求めた多肉ファンが、今、熱い視線を送っているのがコーデックスだ。
コーデックスとは根や茎が塊状になる塊根・塊茎植物と呼ばれる植物の総称。大きくふくらんだ塊根は、ゴツゴツ、ザラザラとした木質化した肌に包まれ、独特の存在感をもつものが多く、その姿から「芋(イモ)」などと呼ばれることもある。
「なかでも最近人気なのはグラキリウスなどのパキポディウムの仲間。人気があるから海外からの輸入も多いんだけど、根が出てない株を買って失敗しちゃう人も多いんだよね」
そう語るのは東京・駒込にあるサボテン・多肉植物の老舗、鶴仙園の靏岡秀明(つるおか・ひであき)さん。
「根のない株が売られていることもあるんだけど、自分としては根のある実生(みしょう)株(タネをまいてふやすこと。また、タネからふやした幼株のこと)をすすめたい。やっぱり枯らしてほしくないじゃない?」
実生の株は国内でつくられているものも多く、日本の気候に順応していることが多いため、育てやすく、楽しみやすいのだという。

■日本の気候に慣れていれば雨ざらしでも栽培可能

ポピュラーなコーデックスの多くは、春から秋は、梅雨の長雨にさえ気をつければ外で雨ざらしにしておいても平気なものも多い。
「実生株として出回っているものはタネをまいて1〜3年くらいの小さい株が多いんで、7〜8年たった株に比べると見た目の迫力がないのは確か。なので最初から大きな輸入株を買いたいというのはわかるんだけど、発育途上の株を自分好みに育てていく楽しみっていうのもあるはずなんだよね」
自分で世話して、バラなどをその品種なりの花を咲かせるのが一つの楽しみであるように、コーデックスを自分だけの一株に仕上げていく楽しみがあるというのだ。
「自分だけの一株をかっこよくつくっていくためには、まずは水が長く残らないように小さめの鉢に植えるのが基本。あとは肥料を控えめにしてやれば、雨ざらしでも大丈夫。日にもよく当たるしね」
■『NHK趣味の園芸』連載「今、熱い植物」2017年5月号より

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