バラの花びらでつくるジャム

ジャムをつくる場合は、農薬を使用していないバラをお使いください。撮影:田中雅也
バラを育て始めて13年のおくだやすひこさんに、バラのジャムのつくり方を教わります。自分の好みで、世界に一つだけの香り高いジャムをつくってみてください。

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■農薬を使わないバラづくり

今回、バラジャムのつくり方を教えていただいたのは、京都市内でバラづくりに取り組むおくだやすひこさん。おくださんは、この地で半世紀近く続くバラ園の2代目生産者として、また、フラワーデザイナー、アロマアドバイザーとして、多角的にバラの楽しみ方を提案しています。ジャムづくりもその一つで、ワークショップなどを開催しています。
おくださんが農薬の使用をやめたのは、自身が体調をくずした経験から。
「農業大学を卒業したあとアメリカに渡り、カリフォルニアにあるバラ園で研修を受けたのですが、農薬を散布しているときに倒れてしまって。強い薬を使っていることを実感しました」
現在、おくださんのバラ園では、農薬を使わずに竹酢液を散布しています。
「竹酢液を使うと病害虫が気になりません。使うのは、産地がはっきりしている国産の竹酢液のみ。散布の頻度は、夏は3日に1回ほどですが、冬は1か月以上間をあけることもあります。農薬を使わないので下草も生えっぱなしですが、それも土が元気な証拠。カタバミなどはフレンチの食材になると喜ばれるので、バラと一緒に出荷することもあるんですよ」

■品種のブレンドを楽しむ

ジャムをつくり始めたきっかけは、あるパティシエのひと言でした。
「紅茶に浮かべる花びらを探しにいらした方が、『これをジャムにしたらおいしいのでは』とおっしゃって。試しにその場でつくってみたら好評だったんです」
風味がよく、食べても安心なバラ。評判は広がり、今では市内の有名フランス菓子店にも、お菓子の素材としてバラを卸しています。
現在栽培しているバラは、約60品種。
「そのうちジャムに使う品種は、3分の1ほどです。風味も見た目もよく仕上げるコツは、『ティー系』や『フルーティ系』といわれる香りのよいバラと、しっかりした赤色の『ダマスク系』をバランスよくブレンドすること。香りのよい品種は花びらの色が薄く、火にかけると茶色く変色してしまうことが多いので、色が濃い品種を合わせるとおいしそうに仕上がります」
品種の組み合わせによって、でき上がりの色や香りが変わるのも楽しみです。
「一度にたっぷりつくるほうがおいしいので、一度に咲く花数があまり多くない場合には、花びらを冷凍保存しておくのがおすすめ。花びらをむしって食品保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍すれば長期保存が可能です。花びらがある程度たまるまで待ってから、ジャムをつくりましょう」
※ジャムのレシピはテキストに掲載しています。誌面にスマホをかざすと、つくり方動画が見られる「かざしてプラス」も併せてお楽しみください。
■『NHK趣味の園芸』2017年5月号より

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