食べているところは茎? くぼみには法則が……ジャガイモのヒミツ

ストロンとつながっていたくぼみ。
畑で育つジャガイモは、いろんなヒミツを隠しています。ちょっと掘ってみたら、ごろごろどっさり、思わぬ真実が顔を出しました。(国研)農研機構・北海道農業研究センター・バレイショ育種グループ長の田宮誠司(たみや・せいじ)さんに教えてもらいました。

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■食べているところは茎?

ジャガイモは、地下茎が太ったもの。野生種のなかには、イモができずにタネでふえるものもありますが、多くはイモから芽を出し、子孫をふやします。
ジャガイモは、アンデス山脈の高地生まれ。アンデスの高地では長い乾季があり、この期間に地下茎に養分をためてイモを作り、生きのびるように進化したと考えられます。

■イモのくぼみには、法則がある!?

ジャガイモの葉は、重なり合わないように、茎を回るように少しずつずれて生えます。じつはこれ、地下の茎であるジャガイモでも同じ。芽の出るくぼみは、らせん状に回ってついています。
ジャガイモには、ほかとは見た目の違うくぼみが、1か所だけあります。これは、そのイモが、茎から出た地下茎(ストロン)とつながっていた部分です。そのくぼみを下にしてイモを置き、上から、マジックなどで芽をつなげてみてください。少しずつずれて、回っていることが確かめられます。

■冷たくすると甘くなる!?

ジャガイモは、発芽のための養分として、でんぷんをためています。気温が下がると、「イモが凍ってはまずい!」と、でんぷんは分解されて糖に変わります。糖が多いと寒さに強くなるからです。そのため、4℃程度で冷蔵貯蔵をしたジャガイモは、甘くなります。
でんぷんは、小さな糖が集まって塊になったものです。それを少しずつ元の糖に戻すのですが、そのときに働くのが、酵素です。酵素の働き方が強い「メークイン」などの品種は、冷蔵貯蔵すると、甘みを増しやすくなります。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2017年3月号より

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